vol.235:高齢者の高血圧とバランス 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
高齢者にとって高血圧はバランス不良の因子となるか?
Is hypertension a risk factor for poor balance control in elderly adults??PubMed Serap Acar J Phys Ther Sci. 2015 Mar; 27(3): 901–904.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・高血圧を呈する高齢者は多い。今回、高血圧とバランスの関係を調べた論文を見つけ、興味深かったため読もうと思った。
内 容
背景・目的
・バランス不良は転倒のリスクを高め、高齢になるほどリスクが上昇するのは周知の事実である。
・高血圧も同様に高齢になるほど有病率は増加し、頭痛、視力障害、頻脈、胸痛、浅い呼吸、筋力低下、足関節腫脹など様々な症状を呈する。
・筆者らはこれらの症状がバランスに影響すると考えている。本研究の目的は高血圧と姿勢保持の関係性を検討することである。
方法
・26名の施設入所中の高齢者(75歳以上)を2群(高血圧群:HT群、非高血圧群:NT群)に分けた。
・立位バランスの計測として重心動揺計を用い、身体重心(COG)の移動速度をアウトカムとした。
・開眼・閉眼、安定した床面・不安定な床面の2×2の4条件で行った。
結果
表:実験結果 Serap Acar (2015)より引用
・COGの移動速度はHT群がNT群に比してわずかに速い結果となったが、群間の有意差は得られなかった。
私見・明日への臨床アイデア
・高血圧群と非高血圧群の間に有意差はないという結果になったが、着眼点が非常に面白い研究だと思った。高血圧に伴う筋力低下、視力障害などがバランス低下の原因となるという仮説が興味深かったためである。高血圧群でバランス不良の傾向は出ており、臨床では転倒の因子のひとつとして頭にいれてもいいかもしれない。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)