【2026年版】脳卒中の評価法SIASとは?評価項目・評価表・カットオフ・使い方を徹底解説
今回は、脳卒中患者の機能障害を9領域・22項目・76点満点で包括的に定量化できるSIAS(脳卒中機能評価法)について、開発背景から全22項目の採点基準・臨床解釈・介入戦略まで徹底解説します。Fugl-Meyer・Brunnstromでは評価できない感覚・体幹・言語・非麻痺側機能を一度に評価できる日本発の世界標準ツールです。
SIAS(脳卒中機能評価法)の実施方法を動画で確認できます。
SIAS(Stroke Impairment Assessment Set:脳卒中機能評価法)は、千野直一・出江紳一ら慶應義塾大学リハビリテーション科グループが1993年に開発した、脳卒中後の機能障害を9領域・22項目・76点満点で定量評価する包括的評価ツールです。
運動機能だけでなく感覚・体幹・視空間認知・言語・非麻痺側機能を約10分で一度に評価でき、急性期ベッドサイドから生活期まで一貫した機能モニタリングが実現します。各項目は3点または5点満点(高得点=機能良好)で採点し、一部項目にはより詳細な1A・1Bなどのサブカテゴリーが設けられています。
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- 正式名称:Stroke Impairment Assessment Set(脳卒中機能評価法)
- 開発者・年:千野直一・出江紳一ら(慶應義塾大学リハビリテーション科)1993年
- 項目数・配点:9領域・22項目 / 満点76点(高得点=軽度障害・機能良好)
- 配点の種類:運動機能5項目=各0〜5点(6段階)、その他17項目=各0〜3点(4段階)。一部項目(手指テスト・筋緊張・腱反射・言語)には1A・1B・1Cのサブカテゴリーあり
- 所要時間:約10分(急性期ベッドサイドでも実施可能・専門器具不要)
- 評価領域:①麻痺側運動機能 ②筋緊張 ③腱反射 ④感覚(触覚・位置覚)⑤関節可動域 ⑥疼痛 ⑦体幹機能 ⑧視空間認知 ⑨言語機能 ⑩非麻痺側機能
- 信頼性:評価者間Kappa係数 0.83〜0.95、Spearman相関 0.84〜0.93(Chino et al., Am J Phys Med Rehabil. 1994)
- 重症度の目安(参考):≦30点=重度 / 31〜50点=中等度 / ≧51点=軽度(※各施設基準に従ってください)
- 必要な道具:反射ハンマー・ピンまたは爪楊枝(感覚用)・50cmテープ(視空間認知用)・握力計(任意)
SIAS(脳卒中機能評価法)とは ― 開発背景・9領域の全体像
SIAS(Stroke Impairment Assessment Set)は、1993年に千野直一・出江紳一らを中心とした慶應義塾大学リハビリテーション科グループが開発した日本発の世界標準評価ツールです(Chino N, et al. Am J Phys Med Rehabil. 1994;日本リハビリテーション医学会誌. 1994)。
🔬 なぜSIASが必要だったのか ― 開発の背景
1990年代以前の脳卒中リハビリ評価は「FIMなどのADL評価」と「Brunnstromステージのような運動機能単独評価」に二極化しており、「どの機能障害がADL制限の主因か」を一つのツールで特定することが困難でした。
開発者らは「脳卒中は運動機能だけが障害されるわけではない」という臨床的事実に立脚し、身体機能障害(インペアメント)の全領域を一度に・定量的に・短時間で評価することを目的としてSIASを設計しました。約10分で実施できる点、ベッドサイドでも使用可能な点が実臨床への普及を後押ししました。
また、Brunnstromステージでは同一ステージ内に留まる患者の回復を捉えられない問題がありましたが、SIASは同一BRSステージの患者を3〜4つの異なるレベルに細分化できることが示されており、回復の微細な変化検出に優れています(Chino et al., 1994)。
SIASの9領域・22項目と配点の全体像
| 項目番号 | 評価項目 | 配点 | 最大点 |
|---|---|---|---|
| ① 麻痺側運動機能(Motor Function) | |||
| 1 | 上肢近位テスト(knee-mouth test) | 0〜5点 | 5点 |
| 2 | 上肢遠位テスト(finger-function test)※1A/1B/1C | 0〜5点 | 5点 |
| 3 | 下肢近位テスト(股)(hip-flexion test) | 0〜5点 | 5点 |
| 4 | 下肢近位テスト(膝)(knee-extension test) | 0〜5点 | 5点 |
| 5 | 下肢遠位テスト(foot-pat test) | 0〜5点 | 5点 |
| ② 筋緊張(Muscle Tone) | |||
| 6 | 上肢筋緊張(U/E muscle tone)※1A/1B | 0〜3点 | 3点 |
| 7 | 下肢筋緊張(L/E muscle tone)※1A/1B | 0〜3点 | 3点 |
| ③ 腱反射(Deep Tendon Reflex) | |||
| 8 | 上肢腱反射(biceps or triceps DTR)※1A/1B | 0〜3点 | 3点 |
| 9 | 下肢腱反射(PTR or ATR)※1A/1B | 0〜3点 | 3点 |
| ④ 感覚(Sensation) | |||
| 10 | 上肢触覚(U/E light touch:手掌) | 0〜3点 | 3点 |
| 11 | 下肢触覚(L/E light touch:足底) | 0〜3点 | 3点 |
| 12 | 上肢位置覚(U/E position:母指or示指) | 0〜3点 | 3点 |
| 13 | 下肢位置覚(L/E position:母趾) | 0〜3点 | 3点 |
| ⑤ 関節可動域(Range of Motion) | |||
| 14 | 上肢ROM(肩関節他動外転角度) | 0〜3点 | 3点 |
| 15 | 下肢ROM(足関節他動背屈角度) | 0〜3点 | 3点 |
| ⑥ 疼痛(Pain) | |||
| 16 | 疼痛(脳卒中に由来する疼痛) | 0〜3点 | 3点 |
| ⑦ 体幹機能(Trunk Control) | |||
| 17 | 垂直性テスト(verticality test) | 0〜3点 | 3点 |
| 18 | 腹筋テスト(abdominal MMT) | 0〜3点 | 3点 |
| ⑧ 高次脳機能(Higher Brain Function) | |||
| 19 | 視空間認知(visuo-spatial deficit:線分二等分テスト) | 0〜3点 | 3点 |
| 20 | 言語(speech:失語症評価)※1A/1B | 0〜3点 | 3点 |
| ⑨ 健側(非麻痺側)機能(Non-paretic Function) | |||
| 21 | 握力(grip strength:健側) | 0〜3点 | 3点 |
| 22 | 健側大腿四頭筋力(quadriceps MMT) | 0〜3点 | 3点 |
| 合計(22項目) | 76点 | ||
💡 SIAS採点の基本原則と配点の計算
高得点=軽度障害(機能良好)、0点=最重度障害が基本原則です。運動機能5項目(項目1〜5)は各0〜5点の6段階、残り17項目は各0〜3点の4段階で採点します。
配点計算:運動機能(5×5=25点)+筋緊張(3×2=6点)+腱反射(3×2=6点)+感覚(3×4=12点)+ROM(3×2=6点)+疼痛(3点)+体幹(3×2=6点)+高次脳機能(3×2=6点)+健側(3×2=6点)=合計76点
1A・1B・1Cサブカテゴリーについて:手指テスト(項目2)・筋緊張(項目6・7)・腱反射(項目8・9)・言語(項目20)では「1点」の中にサブカテゴリー(1A・1B・1C)が設定されています。スコア計算上はいずれも1点ですが、障害の種類・パターンを臨床的に詳細記録するために使用します。
専門家向け:SIASの国際的位置づけと他言語版・主要研究
SIASは英語版(SIAS-E)が存在し、国際的な研究でも使用されています。原著はChino N et al.(Am J Phys Med Rehabil. 1994;73(6):383-392)と千野直一ら(日本リハビリテーション医学会誌. 1994;30(5):310-315)の2論文として発表されました。
FIMとの相関研究では、SIAS総スコアとFIM総スコアのPearson相関はr=0.72〜0.85(複数研究の範囲)、特に「SIAS運動スコア+体幹スコア」の組み合わせがFIM移動項目の予測に有用です。SIASは機能障害(インペアメント)を評価するものであり、FIM(活動制限評価)との組み合わせにより「どの機能障害がどのADL制限につながっているか」を分析する縦断的フレームワークとして機能します。
発症2〜4週時点の運動サブスコアと退院時歩行自立度の相関についても複数の研究報告があり、特に「下肢近位テスト(股関節屈曲)≧3点かつ体幹スコア≧2点」の組み合わせが自立歩行獲得の有力な予測パターンとして注目されています。
SIAS 22項目の詳細な実施方法と採点基準
各項目は高得点=軽度または正常・低得点=重度障害で採点します。0点は「全く機能しない、または評価不能」を意味します。1A・1Bなどのサブカテゴリーはスコア計算上はすべて1点ですが、障害パターンの臨床記録として重要です。評価中は代償動作・異常パターンも記録として残してください。
麻痺側運動機能(Motor Function)— 項目1〜5
随意運動の質・量・代償の有無を上肢近位・遠位・下肢近位(股)・近位(膝)・遠位に分けて評価します。全項目0〜5点の6段階で採点します。3〜5点の基準は項目1(knee-mouth test)の定義と同一です。
上肢近位テスト(knee-mouth test)
| 点数 | 採点基準 |
|---|---|
| 5点 | 健側と変わらず、正常 |
| 4点 | 課題可能。軽度のぎこちなさあり |
| 3点 | 課題可能。中等度のあるいは著明なぎこちなさあり |
| 2点 | 肩肘の共同運動があるが手部が口に届かない |
| 1点 | 肩のわずかな動きがあるが手部が乳頭に届かない |
| 0点 | 全く動かない |
上肢遠位テスト(finger-function test)※1A・1B・1Cサブカテゴリーあり
| 点数 | 採点基準 |
|---|---|
| 5点 | 健側と変わらず、正常 |
| 4点 | 課題可能。軽度のぎこちなさあり |
| 3点 | 課題可能(全指の分離運動が十分な屈曲伸展を伴って可能)。中等度のあるいは著明なぎこちなさあり |
| 2点 | 全指の分離運動は可能なるも屈曲伸展が不十分である |
| 1点 | 1A:わずかな動きがある。または集団屈曲可能 1B:集団伸展が可能 1C:分離運動が一部可能 |
| 0点 | 全く動かない |
下肢近位テスト(股)(hip-flexion test)
| 点数 | 採点基準 |
|---|---|
| 5点 | 健側と変わらず、正常 |
| 4点 | 課題可能。軽度のぎこちなさあり |
| 3点 | 課題可能。中等度のあるいは著明なぎこちなさあり |
| 2点 | 股関節の屈曲運動あり、足部は床より離れるが十分ではない |
| 1点 | 大腿にわずかな動きがあるが足部は床から離れない |
| 0点 | 全く動かない |
下肢近位テスト(膝)(knee-extension test)
| 点数 | 採点基準 |
|---|---|
| 5点 | 健側と変わらず、正常 |
| 4点 | 課題可能。軽度のぎこちなさあり |
| 3点 | 課題可能。中等度のあるいは著明なぎこちなさあり |
| 2点 | 膝関節の伸展運動あり、足部は床より離れるが十分ではない |
| 1点 | 下腿にわずかな動きがあるが足部は床から離れない |
| 0点 | 全く動かない |
下肢遠位テスト(foot-pat test)
| 点数 | 採点基準 |
|---|---|
| 5点 | 健側と変わらず、正常 |
| 4点 | 課題可能。軽度のぎこちなさあり |
| 3点 | 課題可能。中等度のあるいは著明なぎこちなさあり |
| 2点 | 背屈運動あり、足部は床より離れるが十分ではない |
| 1点 | わずかな背屈運動があるが前足部は床から離れない |
| 0点 | 全く動かない |
筋緊張(Muscle Tone)— 項目6〜7 ※各0〜3点・1A/1Bサブカテゴリーあり
麻痺側上肢・下肢の他動運動に対する抵抗(筋緊張)を評価します。各0〜3点の4段階で採点します。痙縮(亢進)も弛緩(低下)も正常からの逸脱として低くスコアリングされます。「1点」には1A(筋緊張亢進)と1B(筋緊張低下)の2種類のサブカテゴリーがあります。
上肢筋緊張テスト(U/E muscle tone)※1A/1B
| 点数 | 採点基準 |
|---|---|
| 3点 | 正常、健側と対称的 |
| 2点 | 上肢の筋緊張が軽度(わずかに)亢進している |
| 1点 | 1A:上肢の筋緊張が中等度(はっきりと)亢進している 1B:他動的筋緊張の低下(弛緩性麻痺) |
| 0点 | 上肢の筋緊張が著明に亢進している(強直レベル) |
• 痙縮(1A・2点):ボツリヌス毒素注射・持続ストレッチ・NMES・ポジショニングを検討
• 弛緩(1B):FES・感覚入力促通・タッピングを優先
他動運動は一定の中等速度で行い、評価者間で速度を統一することが信頼性維持に重要です。
下肢筋緊張テスト(L/E muscle tone)※1A/1B
| 点数 | 採点基準 |
|---|---|
| 3点 | 正常、健側と対称的 |
| 2点 | 下肢の筋緊張が軽度(わずかに)亢進している |
| 1点 | 1A:下肢の筋緊張が中等度(はっきりと)亢進している 1B:他動的筋緊張の低下(弛緩性麻痺) |
| 0点 | 下肢の筋緊張が著明に亢進している(強直レベル) |
腱反射(Deep Tendon Reflex)— 項目8〜9 ※各0〜3点・1A/1Bサブカテゴリーあり
麻痺側上肢・下肢の腱反射を評価します。各0〜3点の4段階で、正常(3点)が最高点です。亢進も消失も正常からの逸脱として低スコアとなります。「1点」には亢進系(1A)と消失系(1B)のサブカテゴリーがあります。道具は反射ハンマーを使用してください。
上肢腱反射(U/E DTR:biceps or triceps)※1A/1B
| 点数 | 採点基準 |
|---|---|
| 3点 | bicepsあるいはtriceps反射とも正常。健側と対称的 |
| 2点 | bicepsあるいはtriceps反射が軽度(わずかに)亢進 |
| 1点 | 1A:bicepsあるいはtriceps反射が中等度(はっきりと)に亢進している 1B:bicepsあるいはtriceps反射がほぼ消失している |
| 0点 | bicepsあるいはtriceps反射が著明に亢進している。あるいは容易にclonus(肘・手関節)が誘発される |
下肢腱反射(L/E DTR:PTR or ATR)※1A/1B
| 点数 | 採点基準 |
|---|---|
| 3点 | PTRあるいはATRとも正常。健側と対称的 |
| 2点 | PTRあるいはATRが軽度(わずかに)亢進 |
| 1点 | 1A:PTRあるいはATRが中等度(はっきりと)に亢進している。unsustained clonusを認める 1B:PTRあるいはATRがほぼ消失している |
| 0点 | PTRあるいはATRが著明に亢進している。あるいは容易にclonus(足関節)が誘発される |
感覚(Sensation)— 項目10〜13 各0〜3点
触覚(項目10・11)と位置覚(項目12・13)は別々の4項目として評価します。それぞれ0〜3点の4段階で採点します。必ず閉眼した状態で実施してください。触覚は手掌・足底、位置覚は母指(または示指)・母趾で評価します。
上肢触覚テスト(U/E light touch:手掌)
| 点数 | 採点基準 |
|---|---|
| 3点 | 正常(健側と同等の触覚認知) |
| 2点 | 軽度低下、あるいは主観的低下、または異常感覚あり |
| 1点 | 重度あるいは中等度低下 |
| 0点 | 強い皮膚刺激もわからない |
下肢触覚テスト(L/E light touch:足底)
| 点数 | 採点基準 |
|---|---|
| 3点 | 正常(健側と同等) |
| 2点 | 軽度低下、あるいは主観的低下、または異常感覚あり |
| 1点 | 重度あるいは中等度低下 |
| 0点 | 強い皮膚刺激もわからない |
上肢位置覚テスト(U/E position:母指または示指)
| 点数 | 採点基準 |
|---|---|
| 3点 | ROMの1割未満の動きでも方向がわかる(正常) |
| 2点 | ROMの1割以上の動きなら方向がわかる |
| 1点 | 全可動域(ROM全体)の動きなら方向がわかる |
| 0点 | 全可動域の動きもわからない(位置覚消失) |
下肢位置覚テスト(L/E position:母趾)
| 点数 | 採点基準 |
|---|---|
| 3点 | ROMの5割未満の動きでも方向がわかる(正常) |
| 2点 | ROMの5割以上の動きなら方向がわかる |
| 1点 | 全可動域(ROM全体)の動きなら方向がわかる |
| 0点 | 全可動域の動きもわからない(位置覚消失) |
関節可動域(Range of Motion)— 項目14〜15 各0〜3点・角度基準あり
麻痺側の他動関節可動域を具体的な角度基準で評価します。上肢は肩関節他動外転、下肢は膝伸展位での足関節他動背屈で評価します。
上肢関節可動域テスト(U/E ROM:肩関節他動外転)
| 点数 | 採点基準(他動外転角度) |
|---|---|
| 3点 | 150°以上(正常範囲) |
| 2点 | 150°以下(90°〜150°未満) |
| 1点 | 90°以下(60°〜90°未満) |
| 0点 | 60°以下(重度制限) |
下肢関節可動域テスト(L/E ROM:足関節他動背屈)
| 点数 | 採点基準(他動背屈角度) |
|---|---|
| 3点 | 10°以上(正常範囲) |
| 2点 | 10°以下(0°〜10°未満) |
| 1点 | 0°以下(−10°〜0°未満) |
| 0点 | −10°以下(重度制限:尖足位固定レベル) |
疼痛(Pain)— 項目16 0〜3点
脳卒中に由来する疼痛を評価します。既往としての整形外科的(腰痛など)・内科的(胆石など)疼痛は含めません。また過度でない拘縮伸長時のみの痛みも含めません。
疼痛テスト(pain:脳卒中由来の疼痛)
| 点数 | 採点基準 |
|---|---|
| 3点 | 疼痛の問題がない |
| 2点 | 加療を要しない程度の軽度の疼痛 |
| 1点 | 中等度の疼痛 |
| 0点 | 睡眠を妨げるほどの著しい疼痛 |
体幹機能(Trunk Control)— 項目17〜18 各0〜3点
体幹の垂直定位(項目17:垂直性テスト)と腹筋力(項目18:腹筋テスト)を評価します。垂直性テスト(17)が先に行われます。体幹機能は発症早期のFIM移動項目と高い相関を示し、退院時ADL・転帰先の有力な予測因子です。
垂直性テスト(verticality test)
| 点数 | 採点基準 |
|---|---|
| 3点 | 静的座位は正常(垂直位を自然に保持できる) |
| 2点 | 静的座位にて側方性の姿勢異常(傾斜15°以上)があるが、指示にてほぼ垂直位に修正・維持可能 |
| 1点 | 静的座位にて側方性の姿勢異常があり、指摘・指示にても修正されず、介助を要する |
| 0点 | 座位がとれない |
腹筋テスト(abdominal MMT)
| 点数 | 採点基準 |
|---|---|
| 3点 | 強い抵抗に抗して起き上がれる(正常:MMT 5相当) |
| 2点 | 軽度の抵抗に抗して起き上がれる(MMT 4相当) |
| 1点 | 抵抗を加えなければ起き上がれる(MMT 3相当:重力に抗して可能) |
| 0点 | 垂直位まで起き上がれない(MMT 2以下) |
高次脳機能(Higher Brain Function)— 項目19〜20 各0〜3点
視空間認知(半側空間無視)と言語機能(失語症)を評価します。視空間認知は50cmテープによる線分二等分テスト、言語は失語症のみ(構音障害は含まない)を評価します。
視空間認知テスト(visuo-spatial deficit:線分二等分テスト)
| 点数 | 採点基準(中央からのずれ:大きい方の値を採用) |
|---|---|
| 3点 | ずれが3cm未満(正常) |
| 2点 | ずれが3cm以上5cm未満 |
| 1点 | ずれが5cm以上15cm未満 |
| 0点 | ずれが15cm以上(重度半側空間無視) |
言語機能テスト(speech:失語症評価)※1A/1B・構音障害は含まない
| 点数 | 採点基準 |
|---|---|
| 3点 | 失語症なし(正常なコミュニケーションが可能) |
| 2点 | 軽度失語症(日常会話はほぼ成立するが言語障害あり) |
| 1点 | 1A:重度感覚性失語症(重度混合性失語症も含む) 1B:重度運動性失語症 |
| 0点 | 全失語症。まったくコミュニケーションがとれない |
健側(非麻痺側)機能(Non-paretic Function)— 項目21〜22 各0〜3点
健側の握力(項目21)と大腿四頭筋力(項目22)を評価します。廃用・低栄養・加齢・サルコペニアにより健側も機能低下します。握力は具体的なkg数で記録することが求められています。
握力テスト(grip strength:健側)
| 点数 | 採点基準(握力kg数) |
|---|---|
| 3点 | 握力 25kg以上(正常範囲) |
| 2点 | 握力 10kg超〜25kg未満(軽〜中等度低下) |
| 1点 | 握力 0kg超〜10kg以下(重度低下) |
| 0点 | 握力 0kg(測定不能・全く把持できない) |
健側大腿四頭筋力テスト(quadriceps MMT)
| 点数 | 採点基準(MMT対応) |
|---|---|
| 3点 | 正常(MMT 5相当:強い抵抗に抗して完全伸展・保持可能) |
| 2点 | わずかな筋力低下(MMT 4相当) |
| 1点 | 中等度に筋力低下(MMT 3相当:重力には抗するが抵抗に負ける) |
| 0点 | 重力に抗しない(MMT 2以下) |
SIAS スコア解釈 ― 重症度分類・カットオフ値の使い方
評価用紙・記録シートをPDFで保存
重症度の目安(カットオフ値)
≦30点
ADLに大きな支援が必要
多くの領域に重度障害
31〜50点
部分的な支援が必要
中等度の機能障害
≧51点
日常生活はほぼ自立
わずかな支援のみ
⚠️ カットオフ値の使い方に関する重要な注意
上記の重症度分類はあくまで臨床的な目安です。SIASの単一の公式カットオフ値は定められておらず、脳卒中の病型(梗塞 vs 出血・部位)・年齢・発症前機能・合併症・評価時期によって大きく異なります。
最も重要なのは経時的なスコア変化の追跡です。絶対値よりも「どの領域がどれだけ改善・低下したか」を分析することが、リハビリ計画修正の根拠となります。
📊 疾患・回復時期別の参考スコア帯(臨床的目安)
| 対象・時期 | 総スコア目安 | 運動サブスコア目安 | 備考・活用ポイント |
|---|---|---|---|
| 急性期(発症1〜2週)重度 | 10〜25点 | 5〜12点 | 廃用予防・転帰予測の基準値 |
| 回復期入棟時(中等度) | 25〜45点 | 12〜24点 | 集中リハビリ介入で改善を期待 |
| 回復期退院時(軽度〜中等度) | 45〜65点 | 22〜25点 | 自宅復帰レベル・残存課題の特定 |
| 生活期(軽微残存障害) | 60〜72点 | 23〜25点 | 社会参加・就労・生活の質向上を目標 |
| 正常(参考値) | 76点 | 25点 | 全領域で障害なし(運動機能5項目×5点=25点) |
※あくまで参考値です。個々の患者を単一の数値のみで判断せず、転帰歴・環境要因と合わせて総合的に判断してください。
専門家向け:SIASサブスコア分析と転帰予測への応用
運動サブスコアの構成(最大25点):上肢近位5点+上肢遠位5点+下肢近位(股)5点+下肢近位(膝)5点+下肢遠位5点=25点。筋緊張・腱反射は別領域として計上します。
歩行予測に特に有用な項目の組み合わせ:発症2〜4週時点の「①下肢近位(股)テスト(股関節屈曲)②体幹腹筋テスト③健側四頭筋筋力」の3項目スコアは歩行自立の有力な予測パターンとして複数の研究で報告されています。「下肢近位(股)テスト≧3点かつ体幹(垂直性または腹筋)≧2点」を自立歩行の目安として活用できます。
FIMとの連携:SIAS総スコアとFIM総スコアの相関はr=0.72〜0.85(複数研究の範囲)。「SIASのどの機能障害がFIMのどのADL制限につながっているか」を分析する縦断的フレームワークとしてSIASとFIMを組み合わせることで、機能回復→ADL自立への経路を患者・家族・多職種チームで共有できます。
SIAS・Fugl-Meyer・BRS・FIM の徹底比較
| 比較項目 | SIAS | Fugl-Meyer (FMA) | Brunnstrom | FIM |
|---|---|---|---|---|
| 評価対象 | 機能障害(9領域・包括) | 運動機能・感覚(特化) | 運動回復段階 | ADL(活動制限) |
| 配点 | 76点満点・22項目 | 226点満点 | Ⅰ〜Ⅵ段階 | 126点満点 |
| 所要時間 | 約10分 | 30〜45分 | 5〜10分 | 15〜20分 |
| 運動機能評価 | ✅ 上下肢各2〜3項目 | ✅✅ 最も詳細 | ✅ 段階評価 | ❌ ADL評価 |
| 感覚評価 | ✅ 触覚・位置覚各2項目=4項目 | ✅ FMAに含む | ❌ | ❌ |
| 体幹・バランス | ✅ 2項目(垂直性・腹筋) | △ 一部含む | ❌ | △ 間接的のみ |
| 言語機能 | ✅ 失語症(スクリーニング) | ❌ | ❌ | ✅ コミュニケーション |
| 健側機能 | ✅ 握力・四頭筋の2項目 | ❌ | ❌ | △ 間接的 |
| 回復の細かな変化 | ✅ 1A/1B/1Cで微細変化を記録 | ✅✅ 最も鋭敏 | △ 段階間が粗い | △ 動作の質は見ない |
| 急性期ベッドサイド | ✅ 対応(専門器具不要) | △ 時間がかかる | ✅ 対応 | ✅ 対応 |
| 最適な使用場面 | 包括的機能評価・経時追跡 | 上肢機能の精密評価 | 運動段階のチーム共有 | ADL自立度・介護量評価 |
💡 推奨:評価ツール組み合わせのフロー
急性期(発症〜2週):SIAS(包括的機能把握・転帰予測)+ FIM(ADL基準値の設定)→ 重症度分類・多職種チームへの情報共有
回復期(集中リハビリ期):SIAS定期評価(2〜4週ごと)+ Brunnstromステージ(チームでの運動回復段階共有)+ Mini-BESTest(バランス詳細評価:BBS高得点でも転倒歴あり患者に追加)
退院前・生活期:SIAS+ FIM+ 転倒リスク評価(TUG・BBS)→ 退院後サービス計画・自主トレーニング処方・フォローアップ計画の立案
⚠️ SIASの限界と注意点(臨床で重要)
・ADLを直接評価しない:SIASは「機能障害(インペアメント)」の評価ツールです。日常生活動作の自立度はFIMやBIを別途使用してください。
・認知機能の詳細評価は含まない:言語(失語症)はスクリーニングレベル、構音障害は非対象です。HDS-R・MMSEなど認知機能評価は別途追加してください。
・評価者間のキャリブレーションが必要:特に運動機能(0〜5点)と筋緊張評価のサブカテゴリー(1A/1B)は経験による差が生じやすいため、施設内での採点基準の統一と定期的な確認が推奨されます。
・脳卒中以外の疾患への適用:SIASは脳卒中患者向けに開発されており、PD・MSなど他の神経疾患への適用は注意が必要です。
ここまでお読みいただいた方へ
SIASスコアを
「個別リハビリ計画」に落とし込めていますか?
9領域のサブスコアを読み解き、どの機能が回復の鍵を握っているかを特定することが最短の機能回復ルートです。STROKE LABでは包括的評価から介入まで一貫して対応しています。
SIASスコアからリハビリ計画へ ― 9領域別介入戦略
麻痺側運動機能が低い患者への介入(項目1〜5が低い)
課題指向型トレーニング(Task-oriented Training)・CI療法(麻痺側強制使用)・神経筋電気刺激(NMES)・鏡療法(Mirror Therapy)・ロボット支援訓練が有効。上肢遠位(手指)テストで1A(集団屈曲のみ)の場合は1B(集団伸展)→1C(分離運動の萌芽)への移行を目標とした細かな段階設定が重要です。下肢機能低下には部分免荷トレッドミル訓練・歩行補助ロボットを検討してください。
筋緊張(痙縮・弛緩)異常がある患者への介入(項目6〜7が低い)
痙縮(1A・2点):ポジショニング・持続ストレッチ・ボツリヌス毒素注射・バクロフェン・NMES・水治療法。弛緩性麻痺(1B):NMES・機能的電気刺激(FES)・感覚入力促通・タッピング。ボツリヌス療法は運動機能訓練と組み合わせることで最大効果が期待できます。1Aと1Bは同じ1点でもアプローチが全く異なるため、サブカテゴリーの記録が介入選択に直結します。
感覚障害が残存している患者への介入(項目10〜13が低い)
感覚再教育(sensory re-education)・段階的な質感識別訓練・閉眼下での関節位置再現訓練・体性感覚フィードバック訓練・鏡療法が有効。触覚(項目10・11)と位置覚(項目12・13)それぞれのスコアを確認し、障害の種類(表在 vs 深部)によってアプローチを変えてください。「視覚代償戦略(視覚でフィードバックを取りながら動く)」の習得も並行して進めることが実用的ADL回復に重要です。
ROM制限・疼痛がある患者への介入(項目14〜16が低い)
肩手症候群の予防・治療:早期ポジショニング(肩甲骨前傾位保持)・TENS・温熱療法・段階的他動ROM訓練・CRPSへの星状神経節ブロック(重症例)。足関節背屈ROM制限:腓腹筋・ヒラメ筋の痙縮(動的制限)か拘縮(固定的制限)かを鑑別し介入を選択。視床痛(中枢性疼痛):通常の鎮痛薬が無効なことが多く、抗てんかん薬(プレガバリン等)・抗うつ薬の適応を医師と検討してください。
体幹機能が低い患者への介入(項目17〜18が低い)
段階的座位バランス訓練・コアスタビライゼーション・不安定面での体幹活性化・垂直認識訓練が有効。Pusher syndromeへの特異的アプローチ:垂直性テスト1点(指示で修正されない)の場合は視覚フィードバック(鏡・カメラモニター)と正中線定位の再教育が有効で、「麻痺側へ体重をかけさせる」通常のアプローチでは効果が限られます。腹筋テスト0点(起き上がれない)には重力除去位からの体幹屈曲運動から段階的に開始してください。
視空間認知・言語障害がある患者への介入(項目19〜20が低い)
半側空間無視(項目19低下):プリズム適応訓練(最も多くのRCTで支持)・視覚走査訓練・環境調整(ベッドの向き変更・家族への指導)・VR訓練。失語症(項目20低下):ST(言語聴覚士)による集中的言語訓練・会話訓練・AAC(代替コミュニケーション)導入・家族への心理教育が不可欠です。1Aの重度感覚性失語と1Bの重度運動性失語ではアプローチが異なりますのでSTへサブカテゴリーを伝えて連携してください。
健側機能が低下している患者への介入(項目21〜22が低い)
早期離床・廃用予防・漸進的筋力トレーニング・栄養管理(低アルブミン血症・サルコペニアへの対応)・転倒予防プログラムが有効。握力が0〜1点(0〜10kg)の場合は重篤な廃用・低栄養を示すサインとして栄養サポートチーム(NST)と連携してください。健側四頭筋0点(重力に抗しない)は立ち上がり・歩行の主要制限因子となります。
SIASのエビデンス ― 信頼性・妥当性・転帰予測
高い評価者間・評価者内信頼性 ― Kappa 0.83〜0.95・Spearman 0.84〜0.93
Chino et al.(Am J Phys Med Rehabil. 1994)の原著研究において、SIAS運動機能評価項目の評価者間信頼性はKappa統計量 0.83〜0.95・Spearman相関係数 0.84〜0.93という高い値が示されました。これは「同一患者を異なる2名の評価者が独立して評価してもほぼ同じ結果が得られる」ことを意味します。評価者内信頼性(同一評価者による再現性)も同等の高さが確認されています。
BRSを上回る感度 ― 同一BRSステージを3〜4レベルに細分化
SIASの運動機能スコアはBrunnstromステージ(BRS)・Motricity Indexと高い相関(Spearman r=0.76〜0.95)を示し、同時妥当性が確認されています(Chino et al., 1994;千野ら, 日リハ医学会誌 1994)。特に重要な知見として、同一BRSステージの患者がSIASによって3〜4つの異なるレベルに細分化されることが示されており、BRSでは検出できない回復の微細な変化の把握に優れていることが証明されています。1A/1B/1Cサブカテゴリーはさらにこの細分化を補完します。
急性期SIASスコアによる退院時ADL・転帰先の予測
複数の研究で、発症初期(2〜4週)のSIAS総スコアおよびサブスコア(特に下肢近位(股)・腹筋・垂直性)が退院時FIMスコア・歩行自立・転帰先(自宅 vs 施設)を有意に予測することが報告されています。特に「垂直性テスト≧2点かつ下肢近位(股)スコア≧3点」のパターンは歩行自立の有力な予測パターンとして知られています。転帰予測においてはSIASを単独で使用するよりFIM・年齢・発症前ADLと組み合わせた多変量予測が精度を高めます。
臨床ケーススタディ ― SIASを活用したリハビリ計画の立案
📋 症例:石川さん(56歳・男性)右内包後脚脳梗塞 発症後6ヶ月
左片麻痺(右利き)、自宅退院後にSTROKE LABを受診。「左手がまだ動かない」「夜間暗い場所でよくふらつく」「会話の言葉がたまに出にくい」という主訴。
| 項目番号・評価領域 | スコア | 状態・サブカテゴリー | 介入優先度 |
|---|---|---|---|
| 1. 上肢近位(膝口テスト) | 3/5 | 課題可能・著明なぎこちなさあり | ◎ |
| 2. 上肢遠位(手指テスト) | 1A/5 | 集団屈曲のみ可・個別指×(1A) | ★最優先 |
| 3. 下肢近位(股) | 3/5 | 課題可能・ぎこちなさあり | ○ |
| 4. 下肢近位(膝) | 4/5 | 課題可能・軽度ぎこちなさ | △ |
| 5. 下肢遠位(足パット) | 3/5 | 遅いが背屈運動は可能 | ○ |
| 6. 上肢筋緊張 | 2/3 | 軽度亢進(MAS相当) | ○ |
| 7. 下肢筋緊張 | 3/3 | 正常 | — |
| 8. 上肢腱反射 | 2/3 | 軽度亢進(++相当) | ○ |
| 9. 下肢腱反射 | 3/3 | 正常 | — |
| 10. 上肢触覚 | 2/3 | 主観的低下・異常感覚あり | ○ |
| 11. 下肢触覚 | 2/3 | 軽度低下 | ○ |
| 12. 上肢位置覚 | 2/3 | ROM1割以上の動きなら方向わかる | ◎ |
| 13. 下肢位置覚 | 2/3 | ROM5割以上の動きなら方向わかる | ◎(夜間ふらつきの原因) |
| 14. 上肢ROM(肩外転) | 3/3 | 150°以上・正常 | — |
| 15. 下肢ROM(足背屈) | 3/3 | 10°以上・正常 | — |
| 16. 疼痛 | 2/3 | 加療不要レベルの軽度疼痛(肩) | △ |
| 17. 垂直性テスト | 2/3 | 15°未満の軽度傾斜・指示で修正可 | ○ |
| 18. 腹筋テスト | 3/3 | 強い抵抗に抗して起き上がれる | — |
| 19. 視空間認知(50cmテープ) | 3/3 | ずれ3cm未満・正常 | — |
| 20. 言語機能 | 2/3 | 軽度失語症(語想起困難) | ○(ST紹介) |
| 21. 健側握力 | 3/3 | 30kg・正常範囲 | — |
| 22. 健側四頭筋 | 3/3 | 強い抵抗に抗して可・正常 | — |
| 合計(22項目) | 57/76点 | 軽度〜中等度残存障害 |
分析と介入優先順位の設計:
① 上肢遠位(手指)1A点が最大の課題→ 集団屈曲から集団伸展(1B)→分離運動(1C)→2点への移行を目標に感覚再教育・鏡療法・課題指向型手指訓練を最優先。上肢感覚(位置覚2点)と連動するため感覚と運動を統合したアプローチを選択。② 下肢位置覚低下(2点)が夜間ふらつきの原因→ 閉眼下での母趾位置覚訓練・Mini-BESTest感覚の方向づけ評価を追加して詳細分析。③ 言語機能2点(軽度失語症)→ ST(言語聴覚士)へ詳細評価(SLTA)を依頼・語想起訓練の家庭プログラムを処方。④ 垂直性テスト2点(指示で修正可)→ 座位・歩行時の正中線定位訓練を継続。
よくある質問(FAQ)― SIAS評価について
SIASとFugl-Meyer(FMA)はどう使い分けますか?
FMA:上下肢の運動機能・感覚のみを226点満点で極めて詳細に評価(30〜45分)。上肢機能回復の微細な変化を最も鋭敏に捉えられます。研究目的・上肢リハビリの精密モニタリングに適しています。
推奨フローとして:日常臨床の包括的モニタリング→SIAS、上肢機能特化の精密評価→FMAを状況に応じて組み合わせることが理想的です。
1A・1B・1Cのサブカテゴリーはスコアに含まれますか?
SIASは急性期でも実施できますか?
筋緊張と腱反射の採点方向を混乱してしまいます。コツはありますか?
①「0点は極端な亢進(強直・著明亢進・clonus)」と覚えてください。消失・低下は0点にはならず「1B」(1点)です。
②「1A=亢進系、1Bで=低下・消失系」として区別してください(Aの方が数字が小さく亢進が多い急性期を連想しやすい)。
施設内でSIASの採点基準表を印刷して壁に掲示する、電子カルテのテンプレートに注意書きを入れるなど、可視化した環境を作ることを推奨します。
言語テストで構音障害のある患者はどう採点しますか?
SIASは何週間ごとに実施しますか?
失語症患者にSIASを実施する際はどうすれば?
患者さんにSIASの点数をそのまま伝えてもよいですか?
STROKE LABのSIAS活用 ― 評価から介入まで
STROKE LABでは、SIASを単なる「点数の記録ツール」ではなく「どの機能回復に集中すべきかを特定する地図」として活用しています。9領域のサブスコアをレーダーチャートで可視化し、最も回復可能性が高く・ADL自立に直結する領域を優先介入ターゲットとして特定。1A/1Bサブカテゴリーも含めた精密なプロファイリングで脳神経科学に基づくオーダーメイドプログラムを設計します。
SIAS起点の脳卒中リハビリ設計フロー
Step 1 評価:SIAS(9領域・22項目包括)+ Mini-BESTest(バランス詳細)+ FIM(ADL自立度)の3本柱で初回評価を実施
Step 2 分析:9領域のサブスコアをレーダーチャートで可視化。1A/1Bサブカテゴリーも記録し「回復の壁」となっている領域・パターンを特定して介入優先順位を決定
Step 3 介入設計:課題特異的トレーニング・神経科学的アプローチ・認知神経リハビリを組み合わせ。患者の生活目標(「また料理したい」「孫と歩きたい」)に直結した意味のある訓練を設計
Step 4 効果判定:4〜6週ごとにSIASを再評価。サブカテゴリーの変化(例:手指1A→1C)も含めて記録し、変化のないスコア領域はアプローチ見直しのシグナルとして活用
Step 5 共有:患者・家族・多職種チームにSIASのレーダーチャートを共有。「どこが改善したか」が一目で伝わる可視化によりリハビリへの参加意識を高めます
リハビリを受けた方の声
退院後も「麻痺した手が全然動かない」と諦めていました。STROKE LABでSIASを受けたところ、手指の運動は集団屈曲のみ(1A)だけど感覚と上肢近位の機能は残っているとわかり、そこを活かした訓練を続けました。今では集団的な開閉ができるようになり(1B相当)、食事のとき補助として左手が使えるようになっています。
60代男性・脳梗塞発症後9ヶ月
病院では「歩けているから大丈夫」と言われていましたが、SIASで評価してもらったら下肢の位置覚が思ったより低下していることがわかりました(位置覚スコア2点:ROM5割以上の動きしかわからない)。暗い場所でふらつく理由がわかって安心しました。感覚訓練を続けて、今は夜間の歩行も安心してできています。
70代女性・脳出血発症後6ヶ月
参考文献・引用文献
- 1) Chino N, et al. The Stroke Impairment Assessment Set (SIAS): A new evaluation instrument for stroke patients. Am J Phys Med Rehabil. 1994;73(6):383-392.
- 2) 千野直一ら:脳卒中機能評価法(SIAS)の開発と信頼性の検証. 日本リハビリテーション医学会誌. 1994;30(5):310-315. J-STAGE
- 3) Chino N, et al. Validity of the Stroke Impairment Assessment Set (SIAS). SpringerLink
- 4) Chen HM, et al. Clinimetric comparisons of 4 measures for spasticity in patients with stroke. J Rehabil Med. 2005;37(1):46-53.
- 5) Cruz-Jentoft AJ, et al. Sarcopenia: revised European consensus on definition and diagnosis. Age Ageing. 2019;48(1):16-31.
- 6) 出江紳一ら:脳卒中機能評価法(SIAS)の妥当性と脳卒中ADL評価との相関. 総合リハビリテーション. 1996.
SIASで「どこが問題か」を特定したら、
次は「どう変えるか」です。
9領域のサブスコア分析から的確な介入へ。運動・感覚・体幹・言語・健側のどれが
回復の鍵を握るかを見極め、脳神経科学に基づいたアプローチで根本から改善します。
STROKE LABではSIAS起点のオーダーメイドリハビリを提供しています。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)