ジャングルジムに登れない子|手足の協調と空間認知の見方 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
  1. HOME
  2. ブログ
  3. 小児リハビリ
  4. ジャングルジムに登れない子|手足の協調と空間認知の見方
小児リハビリ

ジャングルジムに登れない子|手足の協調と空間認知の見方

JUNGLE GYM CLIMBING

ジャングルジムに登れない子|手足の協調と「次の一手」の見方

「近づくけれど、最初の一手が出ない」「途中までは行けるのに、そこで止まる」「上には登れるのに、自分で降りられない」――ジャングルジムの苦手さは、腕の力だけでは説明できません。大切なのは、どこまで登れたかより、どの場面で動きが止まるかを見ることです。この記事では、登る動作を分けて見ながら、家庭での関わりと相談目安、そして専門施設でできる支援まで整理します。

UPDATED2026
READ約12分
FOR3〜8歳ごろのお子さんの保護者へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『脳の機能解剖とリハビリテーション』(2024年・408頁)の著者が執筆しています。STROKE LABでは、子どもの動きを機能解剖と動作分析の視点から見ています。医療・健診が先に必要なときは、まず医療機関へ。私たちは、生活と遊びの中で動きを育てる伴走役として関わります。

ジャングルジム

Quick Reference
不安なときに、まず知ってほしい5つのこと。
01
ジャングルジムに登るには、握る力だけでなく、手足の順番・重心移動・次の足場の見つけ方が必要です。
02
大切なのは「何段登れたか」より、最初で止まるのか、途中で止まるのか、降りられないのかを分けて見ることです。
03
家庭では、持ち上げて完成させるより、成功しやすい高さと順番をつくることが役立ちます。
04
痛み、急な左右差、転倒の多さ、以前できていたことが急にできないなどは、遊びの問題として済ませず、医療や発達相談を優先します。
05
専門施設では、登れない理由を一つに決めつけず、評価→仮説→課題設定→生活で再確認の流れで支援を組み立てます。
01
Not Only Fear Or Strength

「怖がり」「腕力不足」だけで説明しない。

ジャングルジムに登れないとき、つい「まだ怖いだけかな」「握る力が弱いのかな」と考えたくなります。もちろん、怖さや支持する力は関係します。ただ、登る動作はそれだけではありません。次にどの棒を使うか見つけること、手足を同時に離さず順番に動かすこと、反対側へ重心を移すこと、身体の向きを変えながら格子の中を通ること、そして自分で降りることまで、いくつもの要素が重なっています。

だからこそ、「できる・できない」を一つで見ないことが大切です。最初の一歩が出ないのか、途中で止まるのか、上には行けるのに下りで止まるのかで、見立てと関わり方は変わります。

02
STROKE LAB’s Perspective

STROKE LABは、登る動作を「止まる場面」から見ます。

VIEW 1
最初の一手が出るか
遊具へ近づけるか、どの手足から始めるかを自分で決められるかを見ます。
VIEW 2
3点で支えられるか
一つ動かすために、残りの手足で身体を支えられるかを見ます。
VIEW 3
次の足場を見つけられるか
手は出るのに足が出ないとき、足場の探索や距離の見積もりに注目します。
VIEW 4
身体の向きを変えられるか
格子の中を通るときに、胸や骨盤の向きを変える必要があります。
VIEW 5
自分で降りられるか
上りでは見えにくい困難が、下りで初めて表れることがあります。

特に、「上れるのに下りられない」「目印があると進める」「少し支えると足が出る」といった反応の違いは、とても大切な情報です。単純に回数を増やすより、条件を少し変えたときに何が変わるかを見ることで、次の関わり方が見えてきます。

ジャングルジムを上る動作のみかた

03
Six Moments To Observe

家庭で見たい、登る動作の6つの場面。

場面 見たいポイント
① 近づく・始める 遊具へ近づけるか、最初の手足を自分で選べるか。
② 支える 手足のうち3点を残して、身体を支えられるか。
③ 重心を移す 一方の手足を動かすために、反対側へ体重を預けられるか。
④ 次の棒を探す 手や足をどこに置くか見つけられるか。特に足場探索に注目。
⑤ 身体の向きを変える 格子を通るときに、胸や骨盤を回して向きを変えられるか。
⑥ 降りる 下の足場を探しながら、順番を逆にして自分で降りられるか。

動画を撮るときは、正面と斜め横の両方があると見やすくなります。特に、どこで止まったか、誰が声をかけたときに動いたか、どのくらい支えたかがわかると、相談のときにも役立ちます。

04
Evidence In Plain Language

研究でわかっていること。

Evidence Box
保護者向けに、3つだけ整理します。
1.遊具の苦手さは、観察のヒントにはなります。
運動が不器用なお子さんでは、遊具遊びの苦手さがみられることがあります。ただし、ジャングルジムだけ苦手でも、それだけで発達上の問題とは判断できません。走る、跳ぶ、階段、着替え、道具操作など、ほかの場面もあわせて見ます。
2.実際に困っている動作そのものを練習する考え方が重視されています。
課題志向型の支援では、筋力だけを単独で鍛えるのではなく、「次の一手を選ぶ」「低い位置で3点支持をつくる」など、目標の動作に近い形で練習を組みます。
3.訓練室でできることと、公園で使えることは同じではありません。
遊具の高さ、周囲の子ども、音、急かされる感じ、疲れなどで、動きは大きく変わります。だからこそ、生活場面で再び確かめることが大切です。
限界注記:この領域は、ジャングルジムそのものの研究より、発達性協調運動症や小児作業療法の課題志向型介入、家庭実装に関する知見を参考にしています。対象年齢や診断、重症度には幅があり、すべてのお子さんに同じように当てはまるわけではありません。医学的評価や治療の代替ではありません。
05
Watch Or Consult

様子見と、相談が安心なサイン。

様子を見ながら工夫しやすいこと 相談が安心なこと
低い場所では少し試せるが、高さが出ると止まる 痛がる、握る・体重をかけるのを嫌がる
初めての遊具では止まるが、慣れると少し進める 片側の手足ばかり使う、明らかな左右差がある
目印や短い声かけで動きやすくなる 以前できていたのに、急にできなくなった
公園以外では大きな困りが目立たない 走る、跳ぶ、階段、着替えなど、他の場面にも困りが広がっている
降り方を練習すると少し改善する 落下や転倒が多い、遊び参加を大きく避ける
相談メモ|受診や発達相談の前に、7つだけチェック
  • どの遊具で、どの高さなら試せるか
  • 最初の一手が出ないのか、途中で止まるのか、降りられないのか
  • 片側ばかり使っていないか
  • 痛み、疲れやすさ、転倒の多さはないか
  • 走る・跳ぶ・階段・着替え・食具操作など、ほかの困りはあるか
  • 園や学校で、遊び参加に影響しているか
  • スマートフォンで10〜20秒ほどの動画を正面と斜め横から撮れそうか
06
At Home

家庭でできる工夫。

家庭では、「登れるようにさせる」よりも、失敗を増やさず、次の一手が出やすい条件をつくることを目指します。遊具に無理やり乗せるより、低い段差、室内の安定した足場、短い時間での反復など、難しさを下げて経験を積む方が役立つことがあります。

やってみたい工夫
  • 最初の2〜3手だけを目標にする
  • 足場や手の位置に目印をつける
  • 「右手、次は左足」ではなく、「次はどこに行く?」と短く聞く
  • 上る練習だけでなく、低い位置で降りる練習も入れる
  • 人が少ない時間帯に、公園で落ち着いて試す
避けたい関わり
  • 大人が持ち上げて完成させてしまう
  • 高い場所で繰り返し挑戦させる
  • 連続で細かい指示を出しすぎる
  • 怖がっているのに「できるはず」と急かす
  • 上れたかどうかだけで評価する

遊具遊びには、成長に必要な挑戦もありますが、破損や高さ、周囲の混雑など、大人が管理すべき危険もあります。安全確認を前提にしながら、子どもの「やってみたい」を守ることが大切です。

From Home To Professional Support
ここまでは家庭で、失敗や負担を減らす工夫です。

専門施設では、困りごとの仕組みを分けて評価し、育てたい機能と生活参加の両方へ働きかけます。診断、画像、投薬、手術などの医学的判断は主治医の領域です。リハビリでは、遊びや生活の中で「使える力」に変えていく設計を担います。

07
Professional Support

専門施設で、さらに期待できること。

専門施設の役割は、単に「たくさん練習する場所」ではありません。ジャングルジムに登れない理由を、身体・感覚と知覚・運動の順序・環境・疲労や不安などに分けて見ていくことに価値があります。家庭では同じように見える「登れない」でも、止まっている仕組みが違えば、必要な介入も変わります。

専門施設で目指す変化

目標は「高く登れること」だけではありません。自分で次の手足を選べること、途中で止まっても戻り方を考えられること、安全に降りられること、友だちの遊びに参加できることまで含めて考えます。回復を狙う部分、代わりの方法を使う部分、環境を変える部分を分けて設計するのが専門施設の特徴です。

評価領域 何を見るか その所見で何が変わるか
身体・運動 3点支持、重心移動、片手片足を離す順番、身体の向きの切り替え 支持づくりが先か、課題分解より実動作の反復が先かを決めます
感覚・知覚 次の足場の探索、距離の見積もり、下を見るときの反応 目印や視覚情報を使うのか、身体感覚を高める課題を入れるのかが変わります
運動計画・注意 どちらから動かすか決められるか、指示が多いと混乱しないか 言葉の量、課題の単位、成功率の設定を調整します
環境・参加 公園と訓練室の差、混雑、他児の存在、疲労の影響 般化の順番と、家庭・園で確認する目標が変わります
Intervention System
回復・発達支援の4つの系統
1.目標動作を分けた課題練習
「ジャングルジム全体を登る」ではなく、最初の一手、3点支持、2段だけ降りるなどに分けます。どこで止まるかをはっきりさせるためです。
2.知覚と動作をつなぐ練習
次に使う棒を探す、距離を見積もる、見えない足場を身体感覚で探すなど、視覚と動作を一つの課題として扱います。
3.支持と重心移動を実際の遊びへ結びつける
単独の筋力訓練で終わらせず、どの支持点を残せば反対側の足が出るのかを、登る動作の中で学習していきます。
4.家庭・園・公園への般化
高さ、棒の間隔、周囲の子ども、疲れなどを一度に変えず、条件を一つずつ変えながら「使える場面」を増やしていきます。
STROKE LAB’s Clinical Reasoning
STROKE LABの視点

ジャングルジムに登れない子を、「腕の力が弱い子」とまとめてしまうと、支援は浅くなります。実際には、握れるのに足が出ない、上りはできるのに下りで止まる、訓練室ではできるのに公園では止まる、といった差があります。ここにこそ、臨床的な見立ての価値があります。

たとえば、足場に目印をつけると進めるなら、経路選択や視覚的な整理が手がかりかもしれません。骨盤をほんの少し支えると足が出るなら、支持側への重心移動がボトルネックかもしれません。高さを下げると動き出すなら、恐怖と姿勢制御の関係を考えます。条件を一つ変え、その場で反応を見ることが、介入の順番を決める鍵になります。

また、私たちは「上れるか」だけで終えません。友だちがいると急に手足が早くなって同時に離してしまうのか、午後になると疲れて下降で止まりやすいのか、といった生活に近い条件も観察します。そして一定期間後に、同じ目標動作をもう一度見て、家庭や園で実際に使える形へつながっているかを再評価します。

介入量・難易度・学習設計

この領域では、単に「たくさんやる」より、成功率を保てる難易度が大切です。失敗が続きすぎる高さや間隔ではなく、少しがんばれば届く課題から始めます。言葉が多すぎると動きが止まる子には、指示を短くし、子ども自身が次を選ぶ余地を残します。

親御さんには「療法士のように教える」ことを求めません。短い時間で、失敗を減らし、親子関係を壊さず続けられる実装が大切です。たとえば、公園で1回だけ試す、降り方だけを見る、園の先生と「最初の一手が出たか」を共有するなど、続けやすい単位へ翻訳します。

Evidence Box For Professional Support
専門施設パートの根拠を3層で整理します。
A.疾患特異的根拠
ジャングルジムに特化した強い研究は限定的です。したがって、ここでは発達性協調運動症などで示されている「運動の困りを課題として捉える視点」を参考にしています。研究から言えるのは、単純な筋力不足として扱うより、生活の目標課題として見る方がよい、という範囲です。
B.介入原理の根拠
目標志向、課題ベース、十分な反復、本人と家族が選んだ目標という考え方は、小児リハビリで広く支持されています。ここから言えるのは、「実際に困っている登る動作を分けて練習する設計」には根拠がある、ということです。
C.生活実装の根拠
家庭や学校で続けやすい短いプログラム、保護者との共有、生活場面での再確認は重要です。ただし、施設での改善がそのまま公園へ移ると断定はできません。環境差を見ながら調整する必要があります。
限界注記:対象年齢、診断、重症度、介入量には研究間差があります。ここで述べる内容は、ジャングルジムに対する万能な方法ではなく、評価にもとづく介入設計の考え方です。医学的評価や治療の代替ではありません。

ジャングルジム参加に向けた臨床推論マップ

家庭では生活を守る工夫を。専門施設では、評価にもとづいて複数の方法を組み合わせ、できる力を遊びや参加で使える力へつないでいきます。家庭と専門施設は対立するものではなく、連続した支援の一部です。

08
FAQ

よくある質問。

Q. 3歳でジャングルジムに登れないのは遅いですか?
ジャングルジムに登れる時期には幅があり、遊具の高さ、棒の間隔、これまでの経験、怖さの強さによっても差が出ます。3歳で登れないことだけで遅れと判断することはできません。大切なのは、近づけるか、最初の一手が出るか、途中で止まるのか、降りられるかなど、どの場面で難しさがあるかを見ることです。
Q. 怖がりな性格が原因なのでしょうか?
怖さは一因になり得ますが、それだけではありません。登るには、手足の協調、次に使う棒の見つけ方、重心移動、身体の向きの調整、降りるときの足場の探索なども必要です。低い場所では動けるのか、目印があると進めるのかなどを比べると、怖さ以外の要因も見えてきます。
Q. 手では握れるのに、足が出ないのはなぜですか?
よくあるのは、支持側へ体重を預けるのが難しい、次の足場が探しにくい、どちらの手足を先に動かすか決めにくい、というパターンです。握る力があっても、反対側へ重心を移せないと足は出にくくなります。
Q. 上には登れるのに、自分で降りられないのはなぜですか?
降りるときは、視界の下や身体の後ろにある足場を探し、重心を下げながら順番を逆に組み立てる必要があります。上りとは別の難しさがあり、下方を見るのが怖い、足場を見つけにくい、体重移動が不安定などで止まりやすくなります。
Q. 家庭用ジャングルジムで練習した方がよいですか?
家庭用遊具が必須というわけではありません。大切なのは、低い段差や室内の安全な環境で、次の手足を選ぶ、3点で支える、降りる順番を確かめるなど、成功しやすい条件で短く練習することです。持ち上げて完成させる関わりより、子どもが自分で選んで動ける条件づくりが大切です。
Q. どのような場合に専門家へ相談すべきですか?
痛みがある、片側の手足を極端に使わない、以前できていたのに急にできなくなった、登る以外にも走る・跳ぶ・階段・着替えなどで困りが多い、転倒や落下が多い、園や学校の遊び参加に大きく影響している場合は、かかりつけ医や発達相談、小児リハビリなどへの相談が安心です。
STROKE LAB for Children
遊びの中の「気になる」を、一緒に整理します。

STROKE LABでは、動きの困りを「できる・できない」だけでなく、どの場面で止まり、何が変わると動けるかという視点で評価します。小児リハビリについては、下記ページもご覧ください。

Book
脳の機能解剖とリハビリテーション
医学書院/2024年/408頁|脳の領域別からリハビリテーション方法を提案する専門書

脳の領域別の働きから、臨床で行うリハビリテーション方法を提案する専門書です。姿勢・感覚・運動を別々にせず、課題の中でどのように連鎖するかを見る視点は、子どもの遊びを分析する際にも土台となります。

Amazonで書籍を見る

関連記事
公園遊びが苦手な子 鉄棒にぶら下がれない子 平均台を怖がる子 外でよく転ぶ子

関連親記事・比較記事・地域CV記事のURLは、公開状況に合わせて差し替えてください。

References
  • Blank R, et al. European Academy for Childhood Disability (EACD): recommendations on the definition, diagnosis and intervention of developmental coordination disorder. Dev Med Child Neurol. 2019;61(3):242-285.
  • Jackman M, et al. Interventions to improve physical function for children and young people with cerebral palsy: international clinical practice guideline. Dev Med Child Neurol. 2022;64(5):536-549.
  • Novak I, et al. Occupational therapy for children with developmental conditions: top 10 research priorities and state of the evidence. Occup Ther Int. 2019;2019:7057084.
  • 厚生労働省. 発達性協調運動症(DCD)に関する支援資料.
  • Centers for Disease Control and Prevention. Developmental Milestones.
  • 国土交通省. 都市公園における遊具の安全確保に関する指針.
  • 金子唯史. 脳の機能解剖とリハビリテーション. 医学書院; 2024.
CATEGORY

 

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

CATEGORY

関連記事

誠心誠意の機能向上に向けたリハビリ支援
脳卒中・パーキンソン病に特化した個別リハビリ支援。
病院で培った機能をつなぎ、可能性を広げる施設です。
〒113-0033 東京都文京区本郷2-8-1 寿山堂ビル3階・5階
03-6887-5263
〒158-0082 東京都世田谷区等々力7-2-31 The Room 等々力West 201号 2026.3 OPEN
03-6887-5263
〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満6-3-16 梅田ステートビル202号
06-7220-4733
ACCESS
会社案内
事業案内
その他