赤ちゃんの靴はいつから?|歩き始めと足の発達に合う選び方
履かせる時期だけでなく、屋内外の環境と本人の移動方法から必要性を考えます
「つかまり立ちをしたら買う?」「10歩歩けたら必要?」「家の中でも靴を履かせた方がいい?」と迷う方は少なくありません。ファーストシューズは、歩行を早める道具ではなく、主に屋外で足を守る道具です。月齢や歩数だけで決めず、屋外を歩く必要性と、靴を履いた後の立つ・止まる・曲がる動きまで確認して選びます。

靴は「立った月齢」ではなく、生活上の必要性で始めます。
つかまり立ちや伝い歩きを始めても、室内で安全に練習できている段階では、すぐに本格的な靴を買う必要はありません。AAPは、子どもが屋外を歩き始める段階で、足を保護するための靴が必要になると説明しています。NHSも、自分で歩くまでは通常の靴は必要なく、歩き始めでも当初は屋外用に限ってよいとしています。
「10歩歩けたら」は絶対条件ではありません
販売現場では、「自力で10歩程度」を購入の分かりやすい目安として説明することがあります。しかし、10歩は医学的な合否基準ではありません。数歩でも屋外を歩く必要があれば保護用の靴を考えられますし、10歩以上歩いていても屋内中心なら急ぐ必要はありません。
CDCでは15か月頃の発達の目安として「自分で数歩歩く」を挙げていますが、これは靴を買う月齢を決める基準ではなく、発達全体を観察するためのマイルストーンです。月齢だけで異常とは判断せず、立つ、伝い歩き、しゃがむ、移動方法が増えているかを含めて見ます。

安全な室内では、裸足を基本にして構いません。
室内が安全で、床が清潔かつ適温であれば、歩き始めの赤ちゃんは裸足で過ごせます。NHS系の小児足部情報では、裸足は足裏で床を感じ、足指の「つかむ」動きを使いやすくすると説明されています。
ただし、裸足がすべての子どもに常に最善という意味ではありません。床が冷たい、屋外や危険物がある、皮膚を保護する必要がある、主治医や装具担当者から指示がある場合は、生活環境と医療的条件を優先します。
| 場面 | 基本の考え方 | 確認すること |
|---|---|---|
| 安全な室内 | 裸足を基本にできる | 床の温度、滑り、危険物、皮膚状態 |
| 靴下 | 防寒など目的を限定 | 滑り止め、足指の締めつけ、踵の位置 |
| 屋外 | 足を保護する靴を使う | 路面、気温、靴の適合、歩行の安定 |
| 医療的な指示がある | 主治医・装具担当者の方針を優先 | 装具との適合、皮膚、痛み、歩行変化 |
サイズだけでなく、足が靴の中でどう動くかを見ます。
AAPは、歩き始めの靴について、つま先が覆われ、快適で柔軟性があり、滑りにくく、成長のための余裕があることを挙げています。一方で、通常発達の子どもに足を形づくる目的で、ウェッジ、中敷き、高い履き口、補強された踵、特別なアーチ支持などを一律に使う利益は証明されておらず、歩きにくくする可能性があると説明しています。

6歳以下の定型発達児を対象とした系統的レビューでは、靴を履くことで、歩く速さ、歩幅、歩調、足をつく時間などが裸足時と変化することが示されました。一方、靴底の硬さなど特定の靴構造が、歩き始めの子どもに長期的に優れているかを判断できる研究は限られていました。
そのため、柔らかければ柔らかいほどよい、硬く支えれば必ず安定する、と一律には言えません。足に合っているかと、履いた後の動作が保たれるかを同時に確認します。
試着では、前へ歩くだけで終わらせません。
靴店で数歩進めることだけでは、適合を十分に確認できません。歩き始めの赤ちゃんは、止まる、方向を変える、しゃがんで物を取る、再び立つといった場面で、足の自由度や靴の固定の影響を受けます。
そこまで見るのか①|履いた直後と数分後
初めての靴では、感触や重さに戸惑って足を高く上げたり、その場で止まったりすることがあります。数分で動きが戻るなら、慣れの影響も考えられます。反対に、最初は歩けても、疲れると片側だけつま先が引っかかる、足が外へ回る場合があります。
そこまで見るのか②|止まる・曲がる・しゃがむ
直線では歩けても、止まると前へ倒れる、方向転換で片足が残る、しゃがむと踵が抜ける、再び立つと靴がねじれることがあります。靴の中で足がずれず、子どもの試行錯誤を妨げていないかを見ます。

大きめを買うより、こまめに適合を見直します。
乳幼児の足は成長が速く、AAPは最初の一足が2〜3か月ほどで合わなくなる可能性があり、月1回程度フィットを確認するよう案内しています。NHSも子どもの足の成長を踏まえ、定期的な計測を勧めています。
- 左右両方の足長・足幅を確認したか
- 足指が重ならず、先端に当たっていないか
- 踵が歩行中に大きく浮いていないか
- 甲・小指側・踵へ赤みや擦れがないか
- 爪が圧迫されていないか
- 中敷きの擦れ方や靴下のねじれに左右差がないか
- 裸足と靴の歩行を短い動画で比較したか
| 避けたい選び方 | 代わりに確認すること |
|---|---|
| 長く履けるように大幅に大きいサイズを選ぶ | 成長の余裕と踵の固定を両立し、定期的に買い替える |
| 片足だけ測って決める | 左右を別々に測り、小さい側の踵抜けも確認する |
| 硬い・高い靴なら全員に安心と考える | 通常発達では一律に支持を増やさず、動作と適合を見る |
| 土踏まずを作る目的で特別な中敷きを使う | 痛みや疾患がある場合は医師・専門職へ相談する |
靴を嫌がるときは、慣れと不適合を分けます。
裸足では歩ける赤ちゃんが、初めて靴を履くと立ち止まったり、足を高く上げたりすることがあります。新しい重さ、足裏の感覚、足首まわりの接触へ慣れていないことでも起こります。
家庭で確認する順番
| 短く観察しやすい状態 | 相談を検討したい状態 |
|---|---|
| 履いた直後だけ慎重で、数分後に動きが戻る | 裸足でも靴でも片足を引きずる |
| 靴型や固定を変えると歩きやすくなる | 片側だけ強いつま先立ちが続く |
| 赤みや痛みがなく、左右差が固定していない | 同じ側へ何度も転ぶ、足を着くことを嫌がる |
| 裸足では発達に沿って動きが増えている | 15か月頃でも自力の数歩がなく、ほかの発達も気になる |
急に足へ体重をかけなくなった、けがのあと歩けない、強い痛みや腫れ・熱感・発熱がある、皮膚の色が変わる、以前できていた歩行が失われた場合は、靴の買い替えやリハビリ相談より先に小児科・整形外科・救急へ相談してください。
専門相談では、靴の問題と歩行発達の問題を分けます。
専門相談では、「この靴がよい」と商品だけを選ぶのではなく、裸足、靴下、現在の靴で同じ課題を比較します。靴の長さ、重さ、踵の固定、靴底の曲がり方を一つずつ変えたときに、つま先の引っかかり、歩幅、停止、方向転換が変わるかを見ます。
| 観察される困りごと | 確認する条件 | 次の判断 |
|---|---|---|
| 靴を履くと足が前へ出ない | 重さ、長さ、靴底、履いた直後と数分後 | 慣れか、靴との不適合かを整理 |
| つま先が引っかかる | 踵の抜け、足の前滑り、裸足との左右差 | 固定・サイズの調整または発達評価へ |
| 片方だけ脱げる | 左右の足長・幅、方向転換、しゃがみ | 左右のフィット差と足の運びを分ける |
| 裸足でも左右差が続く | 複数床面、疲労前後、立位・歩行全体 | 健診・小児科と情報共有する |
まず裸足と靴で同じ動作を比べます。次に、靴の条件を一つだけ変え、その場でつま先の引っかかり、歩幅、停止、方向転換が改善するかを確認します。条件変更で変わるなら、靴との適合が主要因である可能性があります。
条件を変えても片側の振り出しにくさ、荷重回避、転倒方向が続く場合は、靴選びだけで完結させません。健診・小児科へ伝えやすい動画と観察点に整理し、必要な評価へつなぎます。
よくある質問
STROKE LABの小児リハビリ
STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。乳幼児の歩行相談では、特定の靴や中敷きを万能に見せず、裸足と靴、直線と方向転換、疲労前後など複数条件を比較します。医療・健診が先にあり、診断、画像検査、装具処方などの医学的判断は主治医・医療機関が担います。
動きを比べる。

ファーストシューズは、歩き始めを祝う大切な買い物です。一方、価格や機能の多さだけで決めると、赤ちゃんの足に合っているかが見えにくくなります。
私たちが大切にするのは、裸足でできる動きが、靴を履いたあともどの程度保たれるかという視点です。足の寸法と、子どもの動作の両方を見ることで、靴との不適合と発達上の確認点を分けやすくなります。
靴を変えると改善するのか、裸足でも左右差が続くのかを整理し、必要に応じて健診や医療へ橋渡しします。
代表取締役 金子 唯史

歩行を足だけで捉えず、感覚、姿勢制御、支持面、運動の連鎖から考える臨床の土台となる書籍です。
本記事は、公的機関・小児科団体の情報、系統的レビュー、STROKE LABの臨床的な動作観察を区別して構成しています。特定ブランドの購入を勧めるものではなく、靴だけで歩行発達や疾患を診断することはできません(情報確認日:2026年8月1日)。
- American Academy of Pediatrics. Movement Milestones in Babies 8 to 12 Months Old. 屋外歩行時の靴、快適性、柔軟性、滑りにくさ、成長の余裕、通常発達児に特別な支持構造を一律に用いる利益が証明されていない旨を参照。
- American Academy of Pediatrics. Shoes for Active Toddlers. 靴のフィット、滑りにくさ、最初の靴の使用期間に関する情報を参照。
- National Health Service. Leg and foot problems in children. 自力歩行前の靴、屋外での使用、固定具、踵の抜けに関する情報を参照。
- Bradford District Care NHS Foundation Trust. Babies and children’s feet. 室内裸足、ファーストシューズ、足の計測と定期的なフィット確認を参照。
- Centers for Disease Control and Prevention. Milestones by 15 Months. 自力で数歩歩くマイルストーンと、懸念・退行時の相談を参照。
- Cranage S, Perraton L, Bowles KA, Williams C. The impact of shoe flexibility on gait, pressure and muscle activity of young children: a systematic review. J Foot Ankle Res. 2019;12:55. doi:10.1186/s13047-019-0365-7.
- 金子唯史:脳の機能解剖とリハビリテーション.医学書院,2024,408頁。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)