発達相談で見せる動画の撮り方|赤ちゃんの姿勢・動きを伝えるコツ – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
  1. HOME
  2. ブログ
  3. 小児リハビリ
  4. 発達相談で見せる動画の撮り方|赤ちゃんの姿勢・動きを伝えるコツ
小児リハビリ

発達相談で見せる動画の撮り方|赤ちゃんの姿勢・動きを伝えるコツ

DEVELOPMENTAL CONSULTATION VIDEO

上手に動けた瞬間だけでなく、普段の様子を複数の方向から短く撮影することが役立ちます

「カメラを向けると動かない」「どこまで映せばよいか分からない」——発達相談の動画は、作品のようにきれいに撮る必要はありません。大切なのは、普段の条件と、動作の始まりから終わりまでが分かることです。スマートフォンで安全に撮り、相談時に伝わりやすくするポイントを整理します。

UPDATED2026
READ約12分
FOR乳幼児の保護者へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『脳の機能解剖とリハビリテーション』(2024年・408頁)の著者が執筆しています。赤ちゃんの動画は、診断の代わりではなく、家庭で見える動きを健診・医療・発達相談へつなぐ補助資料です。急な症状や全身状態の異常があるときは、撮影より医療機関への相談を優先してください。

自宅での様子

Quick Reference
まず知ってほしい5つのこと。
01
上手にできた瞬間だけでなく、普段の動きを撮ります
02
基本は1動画に1つの姿勢・動作、30〜60秒ほどです
03
動作の開始前、途中、終わった後まで画面に入れます
04
床、支持物、保護者の手など、動きを支える条件も映します
05
急な異常や退行があるときは、撮影や予約を待たず医療へ相談します
01
Why Video Helps

動画は、相談を補う「普段の記録」です。

相談室では、眠い、緊張する、周囲が気になるなどの理由で、家庭と同じ動きが出ないことがあります。家庭動画には、いつもの床、遊び、支え方、時間帯の中で起きている姿勢や動きを共有できる利点があります。

ただし、動画は発達検査や診察そのものではありません。動画から分かるのは、ある場面で見えた動きです。発達の経過、保護者の心配、対面での観察、必要に応じた標準化された評価を組み合わせて、はじめて全体像を整理できます。CDCも、発達マイルストーンの資料は標準化された発達スクリーニングの代替ではないと明記しています。

Evidence
決められた方法で撮った家庭動画は、運動発達を整理する手がかりになります。

1.5〜19か月の乳児48名を対象に、保護者が撮影した家庭動画と対面観察でAlberta Infant Motor Scaleを比較した研究では、評価得点に高い一致が示されました。保護者の94%は、撮影が行いやすかったと回答しています。

この研究から言える範囲:撮影手順が定められ、訓練を受けた評価者が尺度を用いた条件での結果です。自由に撮影した短い動画だけで、病名や発達の遅れを診断できることを示すものではありません。

出典:Boonzaaijer M, van Dam E, van Haastert IC, Nuysink J. Pediatric Physical Therapy. 2017;29(2):146-151.
02
Seven Basics

伝わりやすい撮影は、7つの基本で整います。

01 1動画・1テーマ
仰向け、うつ伏せ、座位、立位、移動などを分けます。長い1本より、短い動画を場面別にすると比較しやすくなります。
02 30〜60秒を目安に
数秒の成功場面だけでなく、普段の試行錯誤が入る長さにします。嫌がるときは中止します。
03 開始前から撮る
寝返りなら仰向けで動き始める前から、立ち上がりなら座っている状態から撮ります。
04 頭から足まで入れる
顔や手足だけでなく、体幹、骨盤、支持面、移動先まで見えるようにします。
05 カメラを動かしすぎない
ズームや追いかけ撮影を減らし、固定した画面の中で動いてもらう方が身体全体の変化を確認しやすくなります。
06 普段の条件を変えない
撮影のために急に裸にする、強く支える、何度もやり直すなどは避けます。服装が動きを隠す場合は、施設の指示を確認します。
07 うまくいく場面も残す
できにくい場面と、床や支えを変えるとできる場面の両方があると、条件による違いを整理できます。
Key Point
「できた証拠」ではなく、「普段の条件」を見せます。
相談で価値があるのは、完成した動作だけではありません。動き始めるまでの迷い、途中の崩れ、支えを探す手、休憩後の変化も、評価の手がかりです。
03
By Position

姿勢・動作ごとに、画角を変えます。

基本は横向き撮影ですが、スマートフォンの向きよりも、確認したい身体と周囲の条件が画面に収まることを優先します。転落や転倒の可能性がある姿勢では、撮影者とは別に見守る大人を置くか、カメラを固定してください。

姿勢・動作 おすすめの画角 映したいポイント
仰向け 斜め上または足側から、頭から足まで。 頭の向き、両手が中央へ来るか、左右の手足、骨盤や脚の動き。スマートフォンを顔の真上で手持ちし続けない。
うつ伏せ 床と同じくらいの高さから側面を中心に。 頭、胸、肘、手、骨盤、脚が一続きで見えるようにする。起きている時間に、大人が見守る。
寝返り・姿勢変換 動き始める前の姿勢から、移った後まで。 視線、手足のきっかけ、体幹と骨盤の回旋、左右差、戻り方。成功した瞬間だけを切り取らない。
座位 正面と側面を別々に。床と支える手も含める。 骨盤、背中、足の位置、手をつく場所、傾いたときの反応。後ろに倒れる危険がある場合は見守りを優先。
つかまり立ち・立位 正面または斜め側面から、支持物全体を入れる。 支持物の高さ、保護者の手、股関節・膝・足裏、左右の荷重。片手で赤ちゃんを支えながら片手撮影しない。
ずりばい・ハイハイ・歩行 広めに固定し、開始、方向転換、停止まで。 移動距離だけでなく、左右の手足、速度、疲れた後、家具や床面による違い。

発達相談のための動画撮影ガイド

04
Context Notes

動画と一緒に、条件を短く残します。

同じ赤ちゃんでも、眠気、空腹、授乳直後、床の硬さ、服装、おもちゃの位置、支え方で動きは変わります。動画だけでは分からない条件を、1本につき1〜2行で添えると相談が進みやすくなります。

Consultation Memo
相談時に添える7項目。
01
撮影日と月齢
早産の場合は、分かる範囲で修正月齢も記載します。
02
時間帯と体調
起床後、授乳前後、眠そう、機嫌がよい、風邪気味など。
03
どこで撮ったか
床、マット、布団、畳、ソファ前など。高い場所は避けます。
04
服装と足元
上衣、おむつ、靴下、裸足、靴、装具など。
05
どんな支えがあるか
保護者の手、クッション、家具、おもちゃの位置。
06
普段どのくらい起こるか
毎回、ときどき、疲れたときだけ、左右のどちらかだけ。
07
何を相談したいか
動作の有無より、どの部分や変化が気になるかを一言で。

動画を送る方法は、相談先の案内に従ってください。他のお子さんの顔、氏名、園名、住所、診察券などが映り込まないよう確認し、SNSや公開設定のクラウドへ不用意に投稿しないことも大切です。

05
Clinical View

専門家は「できたか」だけを見ません。

家庭動画を見たとき、私たちは動作の結果よりも、その動作がどのように始まり、どの部分で止まり、どの条件で変化したかを整理します。動画は答えを出すためではなく、対面で確かめる仮説を立てるために使います。

01
姿勢へ入る
視線、手足のきっかけ、重心移動、体幹と骨盤の順序を見ます。
02
姿勢を保つ
支持面の広さ、手の支え、呼吸、力み、揺れへの調整を見ます。
03
姿勢から戻る
崩れたときに手が出るか、ゆっくり床へ戻れるか、助けを求めるかを見ます。
04
左右を使い分ける
常に同じ側だけを使うのか、課題や方向によって使い方が変わるのかを見ます。
05
条件で変わる
床、支持物の高さ、おもちゃ、声かけ、時間帯、疲労で動きが変わるかを見ます。
STROKE LAB’s Clinical View
動画で見えた現象を、対面で条件比較します。

たとえば、座位で右へ倒れる動画があっても、体幹の弱さだけとは限りません。左側のおもちゃへ視線が向きにくい、右手を支持に使えない、骨盤が片側へずれる、床が柔らかい、疲れた時間帯だけ起こるなど、複数の可能性があります。

対面では、支持面、視線、おもちゃの位置、支え方を一つずつ変え、その場で動きが変わるかを確認します。さらに、筋緊張、関節の動き、感覚、痛み、呼吸、全身状態は直接確認します。動画だけで病名を推測せず、何を確かめるべきかを具体化することが専門評価の役割です。

専門家と進める赤ちゃん発達サポート

動画で整理しやすいこと 対面で確認したいこと
普段の姿勢、動作の順序、左右の使い方、支持物との距離、時間帯や床面での変化 筋緊張、関節可動域、触覚・固有感覚、痛み、呼吸、実際の介助量、安全性
家庭で起こる頻度、成功しやすい条件、疲れた後の変化 発達歴、診察所見、標準化された評価、医学的検査の必要性
06
Safety First

撮影より、安全と普段の生活を優先します。

避けたい撮り方 安全な考え方
高い場所で撮る ベッド、ソファ、台の上ではなく、原則として床上で撮影します。
大人が離れて固定撮影する 転倒や転落の可能性がある姿勢では、赤ちゃんの近くに見守る大人を置きます。
泣いても何度も繰り返す 嫌がる、疲れる、呼吸が乱れる場合は中止します。動画が撮れなかったことも相談情報です。
できるように強く支える 普段より強い介助や不自然な姿勢を加えると、いつもの動きが分からなくなります。
身体の一部だけを撮る アップ動画は補足にし、まず全身と支持面が見える動画を残します。
撮影しながら片手で支える 立位や歩行などは、固定カメラか別の撮影者を使います。

うつ伏せを撮る場合は、赤ちゃんが起きていて、大人が見守っている時間に行います。睡眠時は仰向けが基本であり、撮影のために眠っている赤ちゃんをうつ伏せにしないでください。

おうちでの動画撮影ポイント

07
Medical Priority

このようなときは、撮影や予約を待ちません。

動画を残そうとして受診が遅れてはいけません。次のような普段と違う急な変化があるときは、発達相談用の撮影を続けず、医療機関へ連絡してください。明らかに緊急の場合は119番、受診判断に迷う夜間・休日は全国共通の子ども医療電話相談「#8000」も利用できます。

医療を優先するサイン
01
呼吸が苦しそう、呼吸が弱い、唇や顔色が紫色・青白い
02
呼びかけへの反応が乏しい、ぐったりしている、意識が普段と違う
03
初めてのけいれん様の動き、けいれんが続く、繰り返す
04
急に片側の手足や顔が動かしにくいように見える
05
母乳やミルクをほとんど飲めない、繰り返し吐く、尿が極端に少ない
06
できていた動作や反応を失う、急速に全身状態が悪くなる

上記はすべての緊急症状を網羅するものではありません。保護者が「いつもと明らかに違う」と感じる場合も、かかりつけ医、小児科、救急相談へ連絡してください。

08
From Video to Consultation

動画は、相談の入口として使います。

初回相談では、動画だけを見て結論を出すのではなく、保護者が気になった場面、発達の経過、健診・医療情報を確認し、実際の姿勢と動きを見ます。そのうえで、条件を変えたときの反応を比べ、家庭で次に観察するポイントを整理します。

01
Listen
困りごとを聞く
どの場面を、いつから、何が気になるのかを動画とメモで共有します。
02
Observe
動画を観察する
姿勢へ入る・保つ・戻る、左右差、支えや環境での変化を整理します。
03
Assess
対面で確認する
姿勢、筋緊張、関節、感覚、安全性、全身状態を確認します。
04
Compare
条件を変える
支持面、視線、おもちゃ、支え方を一つずつ変え、反応を比較します。
05
Share
次の観察を決める
家庭で見るポイント、医療へ確認すること、再評価の時期を共有します。
Before Your Visit
動画が撮れなくても、相談できます。
赤ちゃんの動きは毎回同じではありません。「撮ろうとしたが出なかった」「いつもは夕方だけ起こる」という情報も大切です。準備が完璧になるまで相談を延期する必要はありません。

初回相談から評価までの流れを見る

09
FAQ

よくある質問。

Q. 動画は何秒くらい撮ればよいですか?
A. 1つの動作につき30〜60秒ほどを目安にしてください。長い1本にまとめるより、仰向け、うつ伏せ、座位、立位など、1動画に1つの姿勢や動作を撮る方が確認しやすくなります。赤ちゃんが嫌がる場合は、無理に撮り続ける必要はありません。
Q. 縦向きと横向きのどちらがよいですか?
A. 全身と床面、支持物まで入れやすいため、基本は横向きが適しています。ただし、縦向きでも頭から足まで入り、動作の開始位置と移動先が確認できれば問題ありません。向きよりも、身体の一部が画面から切れないことが大切です。
Q. 全身と手足のアップは、どちらを撮るべきですか?
A. 最初は全身を優先してください。姿勢や動きは、頭、体幹、骨盤、手足が連動して起こるためです。手の開き方や足裏など、特に気になる部分がある場合は、全身動画とは別に短いアップ動画を追加すると伝わりやすくなります。
Q. カメラを向けると普段の動きをしないときはどうしますか?
A. 撮影を成功させようとせず、普段の遊びを続けてください。スマートフォンを固定して少し離れ、赤ちゃんがカメラを意識しなくなってから撮る方法もあります。いつもと違ったこと自体も、相談時に伝えてよい情報です。
Q. 何本くらい準備すればよいですか?
A. 最初は、最も気になる場面を2〜4本ほどで十分です。できにくい場面だけでなく、同じ動きがうまくいく条件の動画が1本あると、床面、支え方、時間帯などの違いを比較しやすくなります。施設から撮影方法を指定された場合は、その案内を優先してください。
Q. 家庭動画だけで発達の遅れを判断できますか?
A. 家庭動画だけで発達の遅れや病名を判断することはできません。動画は、普段の姿勢、左右差、動作の前後、環境による変化を共有する補助資料です。発達歴、健診情報、対面での姿勢・筋緊張・関節・感覚・全身状態の確認と組み合わせて判断します。
10
STROKE LAB

動画に映った不安を、観察できる情報へ。

STROKE LABでは、家庭動画を「できない証拠」として見るのではなく、普段の条件でどのように姿勢を作り、どこで止まり、何を変えると動きやすくなるかを整理する資料として活用します。健診や医療相談が先という前提のうえで、動きの見え方を詳しく確認したいご家族に併走します。

Message & Clinical Backbone
うまく説明できない不安も、
動きの前後から一緒に整理します。
STROKE LAB代表 金子唯史

相談の前に、「何を撮れば伝わるのか」「この動画でよいのか」と悩む保護者は少なくありません。けれど、完璧な記録は必要ありません。

私たちは、姿勢へ入る、保つ、戻るという流れと、支えや環境による変化を丁寧に見ます。動画で分からない部分は対面で確認し、ご家庭で次に見るポイントへつなげます。

急な異常や全身状態の変化は医療機関を優先してください。そのうえで、発達や姿勢の見え方を整理したいときはご相談ください。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史
書籍『脳の機能解剖とリハビリテーション』の表紙
Book
脳の機能解剖とリハビリテーション
医学書院/2024年/408頁|脳の領域別からリハビリテーション方法を提案する専門書

動きを「できる・できない」で終わらせず、姿勢、感覚、運動のつながりとして見る視点は、赤ちゃんの家庭動画を読み解くときにも土台になります。

Amazonで書籍を見る

初回相談・予約について確認する

References
参考文献・公的情報
  1. Boonzaaijer M, van Dam E, van Haastert IC, Nuysink J. Concurrent Validity Between Live and Home Video Observations Using the Alberta Infant Motor Scale. Pediatric Physical Therapy. 2017;29(2):146-151. doi:10.1097/PEP.0000000000000363.
  2. Lipkin PH, Macias MM, Council on Children With Disabilities, Section on Developmental and Behavioral Pediatrics. Promoting Optimal Development: Identifying Infants and Young Children With Developmental Disorders Through Developmental Surveillance and Screening. Pediatrics. 2020;145(1):e20193449.
  3. Centers for Disease Control and Prevention. CDC’s Developmental Milestones. Updated February 16, 2026.
  4. American Academy of Pediatrics. Safe Sleep: Back is Best, Avoid Soft Bedding, Inclined Surfaces and Bed Sharing. 2022.
  5. 公益社団法人 日本小児科学会. こどもの救急(ONLINE-QQ). 2026年確認.
  6. 厚生労働省. 子ども医療電話相談事業(#8000事業). 2026年確認.
  7. 医学書院. 脳の機能解剖とリハビリテーション. 2024.

本記事は一般的な情報提供を目的とし、発達の診断、医学的評価、治療の代替ではありません。赤ちゃんの状態については、健診担当者、かかりつけの小児科医、専門職へご相談ください。最終確認日:2026年7月31日。

CATEGORY

 

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

CATEGORY

関連記事

誠心誠意の機能向上に向けたリハビリ支援
脳卒中・パーキンソン病に特化した個別リハビリ支援。
病院で培った機能をつなぎ、可能性を広げる施設です。
〒113-0033 東京都文京区本郷2-8-1 寿山堂ビル3階・5階
03-6887-5263
〒158-0082 東京都世田谷区等々力7-2-31 The Room 等々力West 201号 2026.3 OPEN
03-6887-5263
〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満6-3-16 梅田ステートビル202号
06-7220-4733
ACCESS
会社案内
事業案内
その他