【最新版】MDS-UPDRSの診断基準は?パート1、2、3、4 パーキンソン病の最新評価
MDS-UPDRS(統一パーキンソン病評価尺度)とは?
MDS-UPDRSは、パーキンソン病の重症度を評価するために国際的に使用されている評価尺度です。旧UPDRS(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale)の改訂版として、2008年にMovement Disorder Society(MDS)により開発され、信頼性と妥当性が高く、臨床研究・日常診療の両方で広く活用されています。
構成と配点
MDS-UPDRSは以下の4つのパートで構成されています。
- Part I(非運動症状の経験):13項目(最大52点)
- Part II(日常生活における運動症状):13項目(最大52点)
- Part III(運動検査):33項目(最大132点)
- Part IV(運動合併症):6項目(最大24点)
合計:65項目、最大得点260点
各パートの詳細
Part I:非運動症状(日常生活における経験)〈最大52点〉
認知・精神症状・自律神経症状・睡眠・痛み・疲労など、非運動症状が日常に与える影響を自己申告で評価します。
- 1.1 認知機能障害
- 1.2 幻覚・精神症状
- 1.3 抑うつ気分
- 1.4 不安気分
- 1.5 アパシー
- 1.6 ドパミン調節障害症候群の特徴
- 1.7 睡眠問題
- 1.8 日中の眠気
- 1.9 痛みおよびその他の異常感覚
- 1.10 排尿障害
- 1.11 便秘
- 1.12 起立時のめまい(起立性低血圧症状)
- 1.13 易疲労感
Part II:日常生活における運動症状〈最大52点〉
食事、衣服の着脱、歩行、立ち上がりなど、日常動作に関する運動機能を自己申告で評価します。
- 2.1 会話の困難さ
- 2.2 唾液の流出(よだれ)
- 2.3 食事の困難さ
- 2.4 筆記の困難さ
- 2.5 服の着脱の困難さ
- 2.6 ベッドや椅子からの立ち上がりの困難さ
- 2.7 布団や寝具の整えの困難さ
- 2.8 歩行の困難さ
- 2.9 バランスの問題
- 2.10 凍りつき現象(フリーズ現象)
- 2.11 日常の家事の困難さ
- 2.12 趣味や活動の困難さ
- 2.13 外出の困難さ
Part III:運動機能検査〈最大132点〉
固縮・振戦・動作緩慢・姿勢・歩行などを、評価者による診察と運動課題で客観的に評価します。
- 3.1 顔面表情
- 3.2 運動時の不随意運動
- 3.3 舌の動き
- 3.4 声の大きさと質
- 3.5 嚥下の困難さ
- 3.6 手の震え(安静時振戦)
- 3.7 足の震え(安静時振戦)
- 3.8 顎の震え(安静時振戦)
- 3.9 上肢のリジディティ(固縮)
- 3.10 下肢のリジディティ(固縮)
- 3.11 指タップ
- 3.12 手の動き
- 3.13 手首の回内外運動
- 3.14 下肢の動き
- 3.15 立ち上がり動作
- 3.16 歩行
- 3.17 静止時の姿勢保持
- 3.18 姿勢の安定性
- 3.19 身体の回転(体幹の回旋)
- 3.20 静止時の振戦(全身)
- 3.21 動作時の振戦(全身)
- 3.22 口元の運動の困難さ
- 3.23 顎の運動の困難さ
- 3.24 眼球運動の困難さ
- 3.25 唇の運動の困難さ
- 3.26 発話の困難さ
- 3.27 上肢の不随意運動
- 3.28 下肢の不随意運動
- 3.29 バランス保持の困難さ
- 3.30 動作の緩慢さ(運動の鈍さ)
- 3.31 他の部位の震え(振戦)
- 3.32 頭部の運動の困難さ
- 3.33 背部のリジディティ(固縮)
Part IV:運動合併症〈最大24点〉
オン/オフやジスキネジアなどの運動合併症の頻度・持続時間・日常生活への影響を自己申告で評価します。
- 4.1 一日の中での運動変動(オン/オフ)
- 4.2 ディスキネジアの持続時間
- 4.3 ディスキネジアの影響
- 4.4 オフ状態の持続時間
- 4.5 オフ状態の影響
- 4.6 痛みや不快感
採点の解釈と重症度
スコアが高いほど症状が重いことを示します。以下はあくまで目安です。
- 軽度:0〜32点
- 中等度:33〜58点
- 高度:59点以上
MDS-UPDRSと従来のUPDRSの違いは?
MDS-UPDRS(Movement Disorder Society-Unified Parkinson’s Disease Rating Scale)は、従来のUPDRS(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale)を改良したバージョンです。主な違いは以下の通りです:
1. 構造の違い
-
従来のUPDRS
- Part I: Mentation, Behavior, and Mood(精神状態、行動、気分)
- Part II: Activities of Daily Living(日常生活動作)
- Part III: Motor Examination(運動検査)
- Part IV: Complications of Therapy(治療の合併症)
-
MDS-UPDRS
- Part I: Non-Motor Experiences of Daily Living(非運動症状の日常生活での経験)
- Part II: Motor Aspects of Experiences of Daily Living(運動症状の日常生活での経験)
- Part III: Motor Examination(運動検査)
- Part IV: Motor Complications(運動の合併症)
2. 質問項目の改良
- 詳細な質問項目:MDS-UPDRSは質問項目が増え、各症状に対する具体的な評価が可能です。これにより、より正確な症状の評価ができます。
- 評価基準の明確化:MDS-UPDRSでは評価基準がより明確に定義されており、評価者間のばらつきを減らすことができます。
3. 非運動症状の強調
- MDS-UPDRSは、パーキンソン病の非運動症状に対する評価が強化されています。これにより、従来のUPDRSでは見逃されがちだった非運動症状の影響を詳細に評価することができます。
4. 信頼性と妥当性の向上
- MDS-UPDRSは、国際的な専門家グループによって開発され、信頼性と妥当性が高められています。多くの臨床試験や研究によってその有効性が検証されています。
5. 電子版の利用
- MDS-UPDRSは電子版が提供されており、データ収集と解析が容易です。これにより、臨床現場での迅速な評価と研究目的でのデータ管理が可能です。
6. 使用範囲の広がり
- MDS-UPDRSは国際的に広く使用されており、標準化された評価スケールとして、臨床試験や日常の臨床診療で広く採用されています。
これらの改良点により、MDS-UPDRSは従来のUPDRSよりも詳細で正確なパーキンソン病の評価を可能にし、患者の症状管理と治療効果の評価に役立っています。
各パートの配点とカットオフ値は?
MDS-UPDRSの各パートの配点とカットオフ値については、パーキンソン病の症状の重症度を評価するためのガイドラインとして以下のように設定されますが、具体的なカットオフ値は診断目的や研究の目的によって異なる場合があります。一般的な配点とカットオフ値の考え方を以下に示します。
パートI:非運動的側面の日常生活に関する質問
セクションA(非運動的側面の日常生活に関する質問)
- 配点: 6項目、各項目0〜4点(最大24点)
- 一般的なカットオフ値(例):
- 軽度:0〜8点
- 中等度:9〜16点
- 重度:17点以上
セクションB(非運動的側面の日常生活に関する患者による評価)
- 配点: 7項目、各項目0〜4点(最大28点)
- 一般的なカットオフ値(例):
- 軽度:0〜9点
- 中等度:10〜18点
- 重度:19点以上
パートII:運動的側面の日常生活に関する患者による評価
- 配点: 13項目、各項目0〜4点(最大52点)
- 一般的なカットオフ値(例):
- 軽度:0〜17点
- 中等度:18〜34点
- 重度:35点以上
パートIII:運動機能の評価(医師による評価)
- 配点: 33項目、各項目0〜4点(最大132点)
- 一般的なカットオフ値(例):
- 軽度:0〜44点
- 中等度:45〜88点
- 重度:89点以上
パートIV:運動の合併症に関する患者による評価
- 配点: 6項目、各項目0〜4点(最大24点)
- 一般的なカットオフ値(例):
- 軽度:0〜8点
- 中等度:9〜16点
- 重度:17点以上
合計点数(全パートの総合点数)
- 配点: パートI(52点)、パートII(52点)、パートIII(132点)、パートIV(24点)の合計で最大260点
- 一般的なカットオフ値(例):
- 軽度:0〜86点
- 中等度:87〜173点
- 重度:174点以上
これらのカットオフ値はあくまで一般的な指標であり、具体的な評価には個々の患者の状態や臨床的な判断が重要となります。カットオフ値は研究や臨床試験において異なる場合があるため、使用する際には最新のガイドラインや専門医の指示に従うことが推奨されます。
MDS-UPDRS Part I: 非運動性の日常生活体験
セクションA:非運動的側面の日常生活に関する質問(6項目)
-
認知機能障害
- 質問: 記憶力や注意力の低下、物忘れがありますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の物忘れや注意力の低下があるが、日常生活にほとんど影響しない
- 2: 時々物忘れや注意力の低下があるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁に物忘れや注意力の低下があり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁に物忘れや注意力の低下があり、日常生活に深刻な影響がある
-
幻覚・精神症状
- 質問: 幻覚や妄想などの精神症状がありますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の幻覚や精神症状があるが、稀で日常生活にほとんど影響しない
- 2: 時々幻覚や精神症状があるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁に幻覚や精神症状があり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁に幻覚や精神症状があり、日常生活に深刻な影響がある
-
抑うつ気分
- 質問: 憂うつな気分や落ち込んだ気持ちになることがありますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の抑うつ気分があるが、日常生活にほとんど影響しない
- 2: 時々抑うつ気分があるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁に抑うつ気分があり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁に抑うつ気分があり、日常生活に深刻な影響がある
-
不安気分
- 質問: 不安や心配を感じることがありますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の不安感があるが、日常生活にほとんど影響しない
- 2: 時々不安感があるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁に不安感があり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁に不安感があり、日常生活に深刻な影響がある
-
動機や興味の低下
- 質問: 日常の活動に対する意欲や興味が減少していますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の動機や興味の低下があるが、日常生活にほとんど影響しない
- 2: 時々動機や興味の低下があるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁に動機や興味の低下があり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁に動機や興味の低下があり、日常生活に深刻な影響がある
-
ドパミン調節障害症候群の特徴
- 質問: 薬の必要量を超える過剰な服用欲求やギャンブルなどの衝動コントロールの問題がありますか?(ドパミン調節障害症候群の兆候)
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の症状があるが、日常生活にほとんど影響しない
- 2: 時々症状があるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁に症状があり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁に症状があり、日常生活に深刻な影響がある
セクションB:非運動的側面の日常生活に関する患者による評価(7項目)
-
睡眠問題
- 質問: 夜間の睡眠に問題がありますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の睡眠障害があるが、日常生活にほとんど影響しない
- 2: 時々睡眠障害があるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁に睡眠障害があり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁に睡眠障害があり、日常生活に深刻な影響がある
-
日中の眠気
- 質問: 日中に過度の眠気を感じることがありますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の日中の眠気があるが、日常生活にほとんど影響しない
- 2: 時々日中の眠気があるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁に日中の眠気があり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁に日中の眠気があり、日常生活に深刻な影響がある
-
痛みおよびその他の異常感覚
- 質問: 痛みや異常な感覚がありますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の痛みや異常な感覚があるが、日常生活にほとんど影響しない
- 2: 時々痛みや異常な感覚があるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁に痛みや異常な感覚があり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁に痛みや異常な感覚があり、日常生活に深刻な影響がある
-
排尿障害
- 質問: 頻尿や排尿困難がありますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の排尿障害があるが、日常生活にほとんど影響しない
- 2: 時々排尿障害があるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁に排尿障害があり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁に排尿障害があり、日常生活に深刻な影響がある
-
便秘
- 質問: 便秘がありますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の便秘があるが、日常生活にほとんど影響しない
- 2: 時々便秘があるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁に便秘があり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁に便秘があり、日常生活に深刻な影響がある
-
起立時のめまい(起立性低血圧症状)
- 質問: 立ち上がったときにめまいや気分不良がありますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度のめまいや気分不良があるが、日常生活にほとんど影響しない
- 2: 時々めまいや気分不良があるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁にめまいや気分不良があり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁にめまいや気分不良があり、日常生活に深刻な影響がある
-
易疲労感
- 質問: しばしば疲労感を感じますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の疲労感があるが、日常生活にほとんど影響しない
- 2: 時々疲労感があるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁に疲労感があり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁に疲労感があり、日常生活に深刻な影響がある
MDS-UPDRS Part II: 運動機能に関する日常生活体験
パートII:運動的側面の日常生活に関する患者による評価(13項目)
-
会話の困難さ
- 質問: 会話が難しくなっていますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の困難さがあるが、理解されやすい
- 2: 時々困難さがあるが、理解は可能
- 3: 頻繁に困難さがあり、時々理解が難しい
- 4: 非常に頻繁に困難さがあり、ほとんど理解されない
-
唾液の流出(よだれ)
- 質問: よだれが出ますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度のよだれがあるが、稀である
- 2: 時々よだれがあるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁によだれがあり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁によだれがあり、日常生活に深刻な影響がある
-
食事の困難さ
- 質問: 食事をするのが難しいですか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の困難さがあるが、ほとんど影響なし
- 2: 時々困難さがあるが、助けを必要としない
- 3: 頻繁に困難さがあり、時々助けを必要とする
- 4: 非常に頻繁に困難さがあり、常に助けを必要とする
-
筆記の困難さ
- 質問: 書くのが難しいですか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の困難さがあるが、読める字が書ける
- 2: 時々困難さがあるが、読める字が書ける
- 3: 頻繁に困難さがあり、時々読めない字が書かれる
- 4: 非常に頻繁に困難さがあり、ほとんど読めない字が書かれる
-
服の着脱の困難さ
- 質問: 服を着たり脱いだりするのが難しいですか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の困難さがあるが、ほとんど助けを必要としない
- 2: 時々困難さがあるが、助けを必要としない
- 3: 頻繁に困難さがあり、時々助けを必要とする
- 4: 非常に頻繁に困難さがあり、常に助けを必要とする
-
ベッドや椅子からの立ち上がりの困難さ
- 質問: ベッドや椅子から立ち上がるのが難しいですか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の困難さがあるが、ほとんど助けを必要としない
- 2: 時々困難さがあるが、助けを必要としない
- 3: 頻繁に困難さがあり、時々助けを必要とする
- 4: 非常に頻繁に困難さがあり、常に助けを必要とする
-
布団や寝具の整えの困難さ
- 質問: 布団や寝具を整えるのが難しいですか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の困難さがあるが、ほとんど助けを必要としない
- 2: 時々困難さがあるが、助けを必要としない
- 3: 頻繁に困難さがあり、時々助けを必要とする
- 4: 非常に頻繁に困難さがあり、常に助けを必要とする
-
歩行の困難さ
- 質問: 歩くのが難しいですか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の困難さがあるが、日常生活にほとんど影響なし
- 2: 時々困難さがあるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁に困難さがあり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁に困難さがあり、日常生活に深刻な影響がある
-
バランスの問題
- 質問: バランスを保つのが難しいですか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の問題があるが、転倒しない
- 2: 時々問題があるが、転倒しない
- 3: 頻繁に問題があり、時々転倒する
- 4: 非常に頻繁に問題があり、常に転倒する
-
凍りつき現象(フリーズ現象)
- 質問: 歩行中に突然動けなくなることがありますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度のフリーズ現象が稀にある
- 2: 時々フリーズ現象があるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁にフリーズ現象があり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁にフリーズ現象があり、日常生活に深刻な影響がある
-
日常の家事の困難さ
- 質問: 家事を行うのが難しいですか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の困難さがあるが、日常生活にほとんど影響なし
- 2: 時々困難さがあるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁に困難さがあり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁に困難さがあり、日常生活に深刻な影響がある
-
趣味や活動の困難さ
- 質問: 趣味や活動を行うのが難しいですか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の困難さがあるが、日常生活にほとんど影響なし
- 2: 時々困難さがあるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁に困難さがあり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁に困難さがあり、日常生活に深刻な影響がある
-
外出の困難さ
- 質問: 外出するのが難しいですか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の困難さがあるが、日常生活にほとんど影響なし
- 2: 時々困難さがあるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁に困難さがあり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁に困難さがあり、日常生活に深刻な影響がある
MDS-UPDRS Part III: 運動機能検査
パートIII:運動機能の評価(33項目)
-
顔面表情
- 質問: 患者の顔面表情はどうですか?
- 評価:
- 0: 正常
- 1: 軽度に減少
- 2: 明らかに減少
- 3: ほとんど無表情
- 4: 完全に無表情
-
運動時のあきらかに見える不随意運動
- 質問: 運動時に不随意運動が見られますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の不随意運動があるが、稀
- 2: 時々見られる
- 3: 頻繁に見られる
- 4: 常に見られる
-
舌の動き
- 質問: 舌の動きはどうですか?
- 評価:
- 0: 正常
- 1: 軽度に減少
- 2: 明らかに減少
- 3: ほとんど動かない
- 4: 全く動かない
-
声の大きさと質
- 質問: 患者の声の大きさと質はどうですか?
- 評価:
- 0: 正常
- 1: 軽度の減少
- 2: 明らかな減少
- 3: 非常に小さい声
- 4: 声がほとんど出ない
-
嚥下の困難さ
- 質問: 嚥下に困難さがありますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の困難
- 2: 時々困難
- 3: 頻繁に困難
- 4: 常に困難
-
手の震え(安静時振戦)
- 質問: 休止時に手の震えがありますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の震え
- 2: 中等度の震え
- 3: 重度の震え
- 4: 非常に重度の震え
-
足の震え(安静時振戦)
- 質問: 休止時に足の震えがありますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の震え
- 2: 中等度の震え
- 3: 重度の震え
- 4: 非常に重度の震え
-
顎の震え(安静時振戦)
- 質問: 休止時に顎の震えがありますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の震え
- 2: 中等度の震え
- 3: 重度の震え
- 4: 非常に重度の震え
-
上肢のリジディティ(固縮)
- 質問: 上肢の固縮はどの程度ですか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の固縮
- 2: 中等度の固縮
- 3: 重度の固縮
- 4: 非常に重度の固縮
-
下肢のリジディティ(固縮)
- 質問: 下肢の固縮はどの程度ですか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の固縮
- 2: 中等度の固縮
- 3: 重度の固縮
- 4: 非常に重度の固縮
-
指タップ
- 質問: 指タップの動きはどうですか?
- 評価:
- 0: 正常
- 1: 軽度の遅れまたは不完全な動き
- 2: 明らかな遅れまたは不完全な動き
- 3: 頻繁に不完全または非常に遅い動き
- 4: 全く動かない
-
手の動き
- 質問: 手の動きはどうですか?
- 評価:
- 0: 正常
- 1: 軽度の遅れまたは不完全な動き
- 2: 明らかな遅れまたは不完全な動き
- 3: 頻繁に不完全または非常に遅い動き
- 4: 全く動かない
-
手首の回内外運動
- 質問: 手首の回内外運動はどうですか?
- 評価:
- 0: 正常
- 1: 軽度の遅れまたは不完全な動き
- 2: 明らかな遅れまたは不完全な動き
- 3: 頻繁に不完全または非常に遅い動き
- 4: 全く動かない
-
下肢の動き
- 質問: 下肢の動きはどうですか?
- 評価:
- 0: 正常
- 1: 軽度の遅れまたは不完全な動き
- 2: 明らかな遅れまたは不完全な動き
- 3: 頻繁に不完全または非常に遅い動き
- 4: 全く動かない
-
立ち上がり動作
- 質問: 椅子から立ち上がる動作はどうですか?
- 評価:
- 0: 正常
- 1: 軽度の困難さ
- 2: 中等度の困難さ
- 3: 重度の困難さ
- 4: 全く立ち上がれない
-
歩行
- 質問: 歩行はどうですか?
- 評価:
- 0: 正常
- 1: 軽度の困難さ
- 2: 中等度の困難さ
- 3: 重度の困難さ
- 4: 全く歩けない
-
静止時の姿勢保持
- 質問: 静止時の姿勢保持はどうですか?
- 評価:
- 0: 正常
- 1: 軽度の不安定さ
- 2: 明らかな不安定さ
- 3: 重度の不安定さ
- 4: 全く保持できない
-
姿勢の安定性
- 質問: 姿勢の安定性はどうですか?
- 評価:
- 0: 正常
- 1: 軽度の不安定さ
- 2: 明らかな不安定さ
- 3: 重度の不安定さ
- 4: 非常に不安定
-
身体の回転(体幹の回旋)
- 質問: 身体の回転はどうですか?
- 評価:
- 0: 正常
- 1: 軽度の困難さ
- 2: 中等度の困難さ
- 3: 重度の困難さ
- 4: 全くできない
-
静止時の振戦(全身)
- 質問: 静止時の振戦はどの程度ですか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の振戦
- 2: 中等度の振戦
- 3: 重度の振戦
- 4: 非常に重度の振戦
-
動作時の振戦(全身)
- 質問: 動作時の振戦はどの程度ですか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の振戦
- 2: 中等度の振戦
- 3: 重度の振戦
- 4: 非常に重度の振戦
-
口元の運動の困難さ
- 質問: 口元の運動はどの程度困難ですか?
- 評価:
- 0: 正常
- 1: 軽度の困難
- 2: 中等度の困難
- 3: 重度の困難
- 4: 全く動かない
-
顎の運動の困難さ
- 質問: 顎の運動はどの程度困難ですか?
- 評価:
- 0: 正常
- 1: 軽度の困難
- 2: 中等度の困難
- 3: 重度の困難
- 4: 全く動かない
-
眼球運動の困難さ
- 質問: 眼球運動はどの程度困難ですか?
- 評価:
- 0: 正常
- 1: 軽度の困難
- 2: 中等度の困難
- 3: 重度の困難
- 4: 全く動かない
-
唇の運動の困難さ
- 質問: 唇の運動はどの程度困難ですか?
- 評価:
- 0: 正常
- 1: 軽度の困難
- 2: 中等度の困難
- 3: 重度の困難
- 4: 全く動かない
-
発話の困難さ
- 質問: 発話はどの程度困難ですか?
- 評価:
- 0: 正常
- 1: 軽度の不明瞭さ
- 2: 中等度の不明瞭さ
- 3: 重度の不明瞭さ
- 4: 全く話せない
-
上肢の不随意運動
- 質問: 上肢に不随意運動が見られますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の不随意運動があるが、稀
- 2: 時々見られる
- 3: 頻繁に見られる
- 4: 常に見られる
-
下肢の不随意運動
- 質問: 下肢に不随意運動が見られますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の不随意運動があるが、稀
- 2: 時々見られる
- 3: 頻繁に見られる
- 4: 常に見られる
-
バランス保持の困難さ
- 質問: バランスを保つのが難しいですか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の不安定さ
- 2: 中等度の不安定さ
- 3: 重度の不安定さ
- 4: 非常に不安定
-
動作の緩慢さ(運動の鈍さ)
- 質問: 動作が緩慢ですか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の緩慢さ
- 2: 中等度の緩慢さ
- 3: 重度の緩慢さ
- 4: 非常に重度の緩慢さ
-
他の部位の震え(振戦)
- 質問: 他の部位に震えがありますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の振戦
- 2: 中等度の振戦
- 3: 重度の振戦
- 4: 非常に重度の振戦
-
頭部の運動の困難さ
- 質問: 頭部の運動はどの程度困難ですか?
- 評価:
- 0: 正常
- 1: 軽度の困難
- 2: 中等度の困難
- 3: 重度の困難
- 4: 全く動かない
-
背部のリジディティ(固縮)
- 質問: 背部の固縮はどの程度ですか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の固縮
- 2: 中等度の固縮
- 3: 重度の固縮
- 4: 非常に重度の固縮
MDS-UPDRS Part IV: 運動合併症
パートIV:運動の合併症に関する患者による評価(6項目)
-
一日の中での運動変動(「オン」と「オフ」状態)
- 質問: 一日の中で運動状態が変動しますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の変動があるが、日常生活にほとんど影響しない
- 2: 時々変動があるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 頻繁に変動があり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に頻繁に変動があり、日常生活に深刻な影響がある
-
一日の中でのディスキネジアの持続時間
- 質問: 一日の中でどれくらいの時間ディスキネジアが続きますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度(1時間未満)
- 2: 中等度(1〜3時間)
- 3: 重度(3〜5時間)
- 4: 非常に重度(5時間以上)
-
ディスキネジアの影響
- 質問: ディスキネジアが日常生活にどの程度影響しますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の影響があるが、日常生活にほとんど影響しない
- 2: 中等度の影響があるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 重度の影響があり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に重度の影響があり、日常生活に深刻な影響がある
-
一日の中での「オフ」状態の持続時間
- 質問: 一日の中でどれくらいの時間「オフ」状態が続きますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度(1時間未満)
- 2: 中等度(1〜3時間)
- 3: 重度(3〜5時間)
- 4: 非常に重度(5時間以上)
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「オフ」状態の影響
- 質問: 「オフ」状態が日常生活にどの程度影響しますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の影響があるが、日常生活にほとんど影響しない
- 2: 中等度の影響があるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 重度の影響があり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に重度の影響があり、日常生活に深刻な影響がある
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痛みや不快感
- 質問: 痛みや不快感がありますか?
- 評価:
- 0: 全くない
- 1: 軽度の痛みや不快感があるが、日常生活にほとんど影響しない
- 2: 中等度の痛みや不快感があるが、日常生活に大きな影響はない
- 3: 重度の痛みや不快感があり、日常生活に支障がある
- 4: 非常に重度の痛みや不快感があり、日常生活に深刻な影響がある
エビデンス
ここでは、MDS-UPDRS(Movement Disorder Society-Unified Parkinson’s Disease Rating Scale)に関するいくつかの研究論文を紹介します。これらの論文は、MDS-UPDRSのスコアリングとカットオフ値に関連する研究を含んでいます。
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“Parkinson’s disease severity levels and MDS-Unified Parkinson’s Disease Rating Scale”: この研究では、MDS-UPDRSの各部分における重症度レベルのカットオフ値を計算し、軽度、中等度、重度の分類を提案しています。患者と医師の同意に基づいて、各部分のスコアリングのガイドラインを提供しています (Shirley Ryan AbilityLab)。
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“Movement Disorder Society-Sponsored Revision of the Unified Parkinson’s Disease Rating Scale (MDS-UPDRS): Scale presentation and clinimetric testing results”: この論文は、MDS-UPDRSの開発と臨床評価の結果を報告しています。MDS-UPDRSの信頼性と妥当性を評価し、パーキンソン病の重症度を評価するためのスケールとしての有用性を示しています (MoveDisSoc)。
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“Minimal clinically important differences for the experiences of daily living parts of Movement Disorder Society–Sponsored Unified Parkinson’s Disease Rating Scale”: この研究では、MDS-UPDRSの生活体験部分(パートIおよびII)の最小臨床的に重要な差異(MCID)を特定しています。この研究は、患者の生活の質と治療効果の評価におけるMDS-UPDRSの役割を強調しています (MoveDisSoc)。
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“Relationship between the MDS-UPDRS and Quality of Life: A large multicenter study of 3206 patients”: この多施設研究では、MDS-UPDRSと患者の生活の質(QoL)との関連を調査しています。3206人の患者を対象に、MDS-UPDRSのスコアが生活の質にどのように影響するかを分析しています (MoveDisSoc)。
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“Handling missing values in the MDS-UPDRS: Implications for Telemedicine”: この研究では、MDS-UPDRSの欠測値の処理方法と遠隔医療における影響を検討しています。欠測データの影響を最小限に抑えるための方法を提案し、遠隔評価の信頼性を向上させるための指針を提供しています (MoveDisSoc)。
これらの研究は、MDS-UPDRSのスコアリング、信頼性、妥当性、および臨床的な応用に関する重要な知見を提供しています。詳細については、各論文を参照してください
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)