vol.325:脳卒中後の回復過程における脳波検査 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
脳卒中後の回復過程における脳波検査
EEG recordings in the course of recovery from stroke.?PubMed Giaquinto et al.(1994)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・脳波検査をすることがあり、その意義をより深めるべく本論文に至る。
内 容
目的
・本研究は脳卒中のフォローアップにおける脳波(EEG)と他の回復尺度との相関関係を評価することを目的としました。
方法
・中大脳動脈領域の34人の脳梗塞患者において、6ヶ月間にわたってEEGを記録しました。
・①入院時にBarthel Indexスコアが60未満の28人の患者と②60以上のBarthelスコアを有する6人の患者で比較しました。
・運動機能および日常生活活動(ADL)は、入院時および3および6ヶ月後と3回評価されました。
結果
・脳波では、①群の梗塞側の半球において有意に異常でした。半球・領域における関連性はありませんでした。
・最初の3ヶ月でパワースペクトル power spectrum(※信号が周波数ごとに含んでいるエネルギーを、グラフにしたもの)の有意な改善を示しました。
・梗塞半球のα波の周波数は対側よりもゆっくりとしていました。
・全ての患者は、運動能力およびADLが改善し、最初の3ヶ月で最も回復しました。しかし、EEGと臨床的試験との間に相関は見出されませんでした。
・個々のプロファイルを見ると、非梗塞半球において頻繁で予期しない波の不安定性が観察されました。
・最良に回復をした人では、EEGspectrumは、左右の半球にわたってより対称的になり、良好な運動およびADL回復が続いた。
・予後のルーチン評価は推奨されない。なぜなら、モーターおよびADL尺度はより早くより正確な指標を提供するからである。
・対照的に、定量化されたEEGは、局所的修復のメカニズムを監視し、いわゆる正常な半球の変化を検出するためのリハビリテーションを受けている個々の患者にとって有用であり得る。それは、粗い臨床的評価では検出されず、適切な神経心理学的検査を必要とする局所的な異常を明らかにする可能性があります。
私見・明日への臨床アイデア
・EEGは臨床的評価と比較し、時間がかかる。しかし、脳機能自体の変化を追うには必要と思われる。脳波はBMI等世の中的に注目されてきている。徐々に簡素化し、評価・治療として一般的になってくると思われる。その意義を理解し着目しておく必要はあると考える。
職種 理学療法士
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)