vol.256:高圧酸素療法と脳卒中後うつ 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
脳卒中後うつに対する高圧酸素療法の効果
The effects of combined hyperbaric oxygen therapy on patients with post-stroke depression.?PubMed Yan D J Phys Ther Sci. 2015 May;27(5):1295-7. doi: 10.1589/jpts.27.1295.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・脳卒中後にうつ病を呈した利用者様に臨床でよく出会う。今回うつ病に対し高圧酸素療法の効果を検討した論文を見つけ、興味を持ったため読もうと思った。
内 容
背景・目的
・脳卒中後のうつ病(PSD)は急性期に有病率33%、慢性期で34%と言われている。
・抗うつ薬はあるが、15~33%は薬を使用しても効果が見られないと報告されている。
・高圧酸素療法(HBOT)は急性期の一酸化中毒に対して効果的と言われているが、この治療法は急性期、慢性期問わず脳卒中者の神経学的な改善に有効と報告されている。これは脳損傷部位に対して酸素供給が可能なこと、脳浮腫の改善や代謝促進につながることが理由に挙げられている。
・本研究は脳卒中者のうつ病に対し、抗うつ薬と高圧酸素療法を併用した際の効果を検討する。
方法
・90名の脳卒中者
・抗うつ薬群、抗うつ薬+高圧酸素療法群と高圧酸素療法群の3群に分けた(それぞれ30名)。
・Hamilton Depression Scale (HAMD:うつ病の評価) とScandinavian Stroke Scale (SSS:神経機能の評価)をアウトカムとした。
・4週間の介入とした。
結果
表:実験結果 Yan D J Phys (2015)より引用
・3群全てで介入前後のSSSとHAMDの改善が見られた。
・抗うつ薬+高圧酸素療法群のHAMD群は他の2群より有意な改善が見られた。
・SSSは群間の差は見られなかった。
・臨床効果は抗うつ薬+高圧酸素療法群で90%であり、他の2群より有意な改善が得られた。
私見・明日への臨床アイデア
・高圧酸素療法がうつ病に有効と初めて知った。抗うつ薬と併用することで臨床効果が高く、病院でも取り入れられると良いと思った。
職種 理学療法士
病院内 スタッフ育成サポート
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)