vol.375:プッシャー症候群における治療介入の即時効果 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
pusher behaviourにおける治療介入の即時効果
Immediate effectiveness of single-session therapeutic interventions in pusher behaviour.PubMed Krewer C et al.(2012)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・lateropulsionに興味があり、その本質を問いたいと思ったため。学習の一助として本論部に至る。
内 容
背景/目的
・片麻痺を有する脳卒中者の一部は、『pusher behaviour』を示します。非麻痺側の押す動作が見られ麻痺側に傾きます。これにより、座位・立位における姿勢バランスを損います。pusher behaviourは、患者のリハビリを妨げる要素となり得ます。
・いくつかの治療戦略が試されており、本研究では galvanic vestibular stimulation (GVS)・HocomaのLokomatを用いた免荷歩行訓練装置・視覚フィードバックを用いた理学療法(PT-vf)の即時後効果を調べた。
方法
・15人のpusher behaviourを有する患者と10人のnon-pusher患者が参加した。GVSはtDCSを使用し、車椅子上で実施している。
・患者は、介入の単一セッションの直前・直後にthe scale for contraversive pushing(SCP)およびBurke lateropulsion scale(BLS)のスケールで測定した。
結果
・PT-vfと比較し、Lokomatはpusher behaviour患者のBLSに対して有意な効果を有したがSCPの値に有意な効果は示さなかった。
・GVSはいずれのスケールの値においても有意な影響を及ぼさなかった。
・BLSはより小さな変化を検出するためにSCPより有用である。
・歩行中に直立姿勢を強制的に制御することは、麻痺によって崩れた垂直性の感覚を再学習するため、脳卒中者のpusher behaviourを即座に減少させるのに有効な方法であると思われる。しかし、この知見において長期的効果は示されていない。
私見・明日への臨床アイデア
・lateropulsionに対して陰極を乳様突起としてIntelect Advenced Comboにて閉眼閉脚立位で運動療法実施前に刺激した例では立位バランスの能力の改善を示しており、別法であれば反応は違う可能性がある。患者自身が車椅子など安定した環境や開眼していたり補償が利く状態では、その知覚を減じやすいと思われる。しかし、そもそもlateropulsionという同じ言葉でも脳損傷部位によって原因が異なり反応は異なると思われる。
・今回の治療の中では、装置により適切な姿勢、適負荷に調整された環境下で、他の訓練より良好な感覚を取り入れたLokomatが一番反応が良かったと思われる。
氏名 shuichi kakusho
職種 理学療法士
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)