vol.327:TKA後の立ち上がりと大腿四頭筋筋力低下 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
人工膝関節全置換術後の大腿四頭筋弱化に影響された立ち上がりと歩行中の代替的な荷重
Altered loading during walking and sit-to-stand is affected by quadriceps weakness after total knee arthroplasty.
?PubMed Mizner RL J Orthop Res. 2005 Sep;23(5):1083-90. Epub 2005 Mar 28.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
TKA術後患者の立ち上がりに関する論文を見つけ、読みたいと思ったため。
内 容
背景・目的
・人工膝関節全置換術(TKA)術後1年後の患者と手術非実施群を比較した研究によると、実施群は膝関節痛を軽減していたが、歩行スピードの低下が20%、階段昇降スピード低下が50%生じていたと報告されている。
・立ち上がりではTKA非施行側の股関節、膝関節のモーメントが増加すると言われている。また、椅子から椅子への移乗動作ではTKA施行側の膝関節は関節運動が少なく、角速度も遅く、膝最大関節モーメントも健常者に比べて小さいと報告されている。
・上記の立ち上がり動作における原因のひとつとして、大腿四頭筋弱化が挙げられている。
・本論文は大腿四頭筋弱化と立ち上がり、歩行の関連を検証する。
方法
・14名のTKA施行患者(術側膝屈曲100°以上、計測は術後3か月後に行った)。
・等尺性大腿四頭筋筋力、立ち上がりと歩行時の運動力学的、運動学的データ、筋電図を測定した。
・歩行データとしてTimed up and go test (TUG)、6分間歩行試験(6MW)、階段昇降(SCT)を計測した。
結果
・術側の大腿四頭筋筋力はTUG、SCTと相関していたが、非術側の相関の方が強かった。
・立ち上がりでは、非術側に荷重が優位だった。
図:実験結果(歩行) Mizner RL (2005)より引用
・大腿四頭筋の活動と膝・股伸展モーメントは非術側に比して術側が小さかった。
図:実験結果(立ち上がり) Mizner RL (2005)より引用
・非術側の股関節、膝関節モーメントが術側より大きかった。
私見・明日への臨床アイデア
・術側下肢のモーメントが少なく、筋活動が少ないことが予想される。荷重も非術側に大きくなっているという臨床で感じることと同内容の結果だった。
・術後3か月では非対称性が強い。退院後、在宅で継続的なフォローによってこの非対称性をなくすアプローチを行い、非術側の過負荷軽減、動作効率改善を図る必要があるのではないか。
職種 理学療法士
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)