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脳卒中患者の歩行と杖の関係性:リハビリ論文サマリー vol.114

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カテゴリー

歩行

 

 

タイトル

脳卒中患者の歩行:杖の効果 Hemiplegic gait of stroke patients: the effect of using a cane. 👈Kuan TS. Arch Phys Med Rehabil. 1999 Jul;80(7):777-84.

 

 

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

臨床で杖の使用を勧めることは多いが、杖の有無によって実際歩行がどう変わるのか、運動学の視点から知りたいと思ったため。

 

 

内 容

目 的

杖の有無による脳卒中患者の歩行を杖の有無で比較し、運動学的に解析すること

 

方 法

・脳卒中群15名(男性10名、女性5名、平均56.9歳、発症から平均9.8週)

・対照群9名(男性2名、女性7名、平均61.2歳)

3次元動作解析装置を用いて歩行速度、ケイデンス(歩数/分)、歩幅(一側の接地から他側の接地まで)、重複歩長(片側の踵が接地して同側の踵が接地するまで)、歩隔(左右の足の横の幅)、立脚時間、動作中の関節角度を計測した。

・脳卒中群の杖の有無、対照群の3パターンを計測した。

※本サマリでは杖の有無の比較のみ取り上げる。

 

結 果

無題

 

表1:歩行データ Pubmed Kuan, T (1999) より引用

※with cane:杖あり、without cane:杖無し

 

・杖の有無で歩行スピード(walking speed)に変化はなかった。

・杖の使用により有意にケイデンス(Cadence)が減少した(杖有67.2±20.6、杖無60.6±23.2)。

・また、杖の使用により歩幅(Step length Affected side)と重複歩長(Stride length)が有意に増加した(それぞれ、杖有34.7±8.556.1±19.7、杖無28.6±9.849.5±19.8)。

・有意差はなかったが、麻痺側の立脚時間は杖有りで長かった(杖有70.2±8.2、杖無69.6±8.0)。

 

pelvic rotation

hip ext flx

hip abd addhip int ext rotaankle df pf

box

図:1歩行周期の関節角度(杖有と杖無で差があったもののみ記載)Pubmed Kuan, T (1999) より引用  

※Normal range: 対照群、with cane:杖有り、without cane: 杖無し

 

・杖の使用により、杖無しに比べて以下の運動に増加が見られた。

骨盤の後方回旋(全歩行周期)

股関節の伸展(歩行周期の3065%)

股関節の外転(歩行周期の4070%)

膝関節の内旋(歩行周期の080%)

足関節の背屈(歩行周期の4080%)

 

キャプチャ

表2:各群、条件の歩行時の相(%) Pubmed Kuan, T (1999) より引用  

Affected heel (foot) strike: 麻痺側踵接地、Sound toe off: 非麻痺側つま先離地、Sound heel off: 非麻痺側踵接地、Affected toe off: 麻痺側つま先離地

 

興味深かったこと、批判的考察

・杖の使用により歩幅、重複歩長、麻痺側の片脚支持時間の増加がみられた。関節角度のデータからも、杖の使用により骨盤の後方回旋や股関節の伸展、足関節の背屈角度が増加しており、立脚後期が作られ、非麻痺側の振り出しが大きくなったと結論づけている。

・いくつか方法や結果に気になる点があった。表2で各条件ごとの相を提示しているが、例えば非麻痺側のつま先離地は杖有り18.9%、杖無し17.4%とずれている。これらをひとつのグラフに並べたとしても、厳密には比較できていないのではないか。また、杖有りで歩幅が大きくなったが、歩行スピードは変わっていない。これは1歩は大きくなったが、その代わり振り出し速度は遅くなったということであり、被験者は努力的に一歩を振り出したのではないかと感じた。本研究は同一の被験者が杖有りと杖無しの2条件で歩いており、さらに実験の意図が隠されたとも明記されていないため、被験者は無意識的に杖が有利になるように歩幅を大きくしていているかもしれない。研究方法にバイアスがないとは言えず、結果を鵜呑みしてはいけないと感じる。

 

明日への臨床アイデア

・麻痺側の支持時間が延長し、非麻痺側の振り出しが大きくなる、という結論はとてもシンプルなもので、臨床で感じるところである。この論文だけでは「文献的にも証明されている」と患者に説明するのは待った方がいいかもしれない。

 

 

氏名 鵜澤 寛伸

職種 理学療法士

 

 

 

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