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vol.79:リハビリ「多重感覚プロセス」?:脳卒中/ 脳梗塞)リハビリに関わる論文サマリー

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カテゴリー

脳科学

 

 

 

タイトル

生涯における「多感覚プロセス」について Multisensory Processes: A Balancing Act across the Lifespan?PubMedへ Murray MM et al:Trends Neurosci. 2016 Aug;39(8):567-79

 

 

 

内 容

Introduction

•このレポートは、多感覚的な処理が徐々に発展し、幼小期だけでなく成人期にも(寿命に渡って)可塑的で動的であることを示している。

 

•多感覚プロセスは、「正常な」環境下での学習と記憶を改善するだけでなく、高度に可塑的で動的な表現能力によって感覚喪失の場合に修復の機会を創り出すことを示している。

 

•多感覚機能のダイナミズムを2つのタイムスケールにわたって説明している。 ①寿命に渡って動作する長期的なもの ②新しい複数の感覚的な関係の学習中に動作する短期間のもの さらに、タスクの偶発性の事象の重要性を強調している。

 

•刺激特性と学習された関連の相対的な重み付けに基づいて、これらの 非常に動的な多感覚プロセスが、広範囲の時間スケールにわたって脳機能に安定性と柔軟性の両方を提供すると結論づけている。

 

 

 

発達の観点から

•出生時(乳児)は、強度や時間的同期のような単純な幅広い手がかりに基づいて(低次の物理的刺激特性に基づいて)、初歩的な多感覚対応を検出し、物体や出来事の特定の多感性を検出することができない。

 

•成長し、経験を積むにつれて、徐々に非本質的な多感覚入力の結び付けを止め、経験によって築かれた足場に基づいて情報を結びつけていく。

 

キャプチャMurray MM et al:2016)?PubMedへ

 

•このプロセスは多感覚知覚狭窄(multisensory perceptual narrowing)として知られており、早期選択的経験の累積的な影響を反映している。(上図)

 

•成長し、より高次の皮質領域および回路が成熟するにつれて、経験に関連する(すなわち、学習された)因子が優先されるようになり、成熟が進行するにつれ発達的に再調整・重み付けされるようである。

 

 

 

歴 史

2Murray MM et al:2016)?PubMedへ

 

•歴史的には、多感覚機能は、より高次の関連皮質領域ならびに前運動皮質および感覚運動皮質下領域が活動拠点と考えられていた(上図)。

 

•最近の研究では、感覚システムが非常に初期の処理段階であっても互いに影響を与える能力を有することを明らかにし、この見解を変え、感覚機能に大きな柔軟性を与えることができることを示唆している。

 

 

 

物理的刺激特性

•物理的刺激特性は、神経、行動および知覚レベルで多感覚 相互作用を形成する上で中心的な役割を果たすことは十分に確立されている。

 

•これらの刺激特性は孤立して機能するのではなく、むしろ(高次を含め)互いに相互作用する。例えば、低次の刺激特徴(位置、タイミング、強度など)が一定に保たれている場合であっても、タスク依存、目標依存、および環境依存の要因が、特定のタイプの多感覚相互作用の性質を劇的に変えることが示されている。

 

•そのような相互作用は生まれた時から寿命までの時間スケールにわたり起こっていることをレポートにて強調している。

 

相互性における具体例

•騒々しい部屋で一人の話し手の話している内容を理解する能力時、話者の口を見ることは、聴覚信号の明瞭度を15dB増加させることができる。

 

•視覚的手がかりから音声情報を抽出するこの能力は、幼児が母国語の話し方を学ぶ必要があるとき、良く知らない言葉を覚えるとき等で用いる。

 

•聴覚障害者は唇の読み取りによって発話を理解するために口の動きを見ることを学ぶことができ、その結果、大脳皮質の領域内に広範な横方向の可塑性がもたらされる。

 

•感覚代替デバイス(SSD)を使用する場合のように極端な場合、個人は、損傷した感覚の機能を置き換えるために無傷の感覚チャネルを使用することに部分的にまたは完全に適応するように訓練することができる。(例えば、盲人の方が視覚的入力の代わりに触覚または音声によって伝達される場合)。

 

•「視覚」領域は、外側後頭皮質(LO)であるが、LO皮質が物体の幾何学的形状を解読す るのに重要な役割を果たすことを示唆されている。この証拠は、先天盲の方と鑑識人が、音に応答してLO皮質を活性化したという観察から来る。 また他の研究では、幾何学的形状情報が同じニューロン内の接触と視力の間で共有されることが示されている。詳細は➡Multisensory visual-tactile object related network in humans: insights gained using a novel crossmodal adaptation approach

 

 

 

私見・明日への臨床アイデア

 

•患者もセラピストも個々それぞれの人生経験を詰め込んだボックスの中へ情報を入れたり、その中から出したりする。そのためセラピストは自身に認知バイアスがあることを理解し、治療の提供や学習をすべきである。

 

•患者に対しても、個々の経験の足場が違うため、情報収集をしっかり行い、本人の人生経験に沿うような刺激をよりリアルに入れていくこと、その上で偶発性や新奇性を取り入れる事が、無関係の練習よりも、今までの経験を活かしたり,本人もイメージしやすく学習における再調整・重み付けに良好な刺激になるかもしれない。(トラウマなど)逆もまたあり得る。

 

•例えば何か物を認識するときに、見る、触る、聞く等、それぞれの行為は一つずつ 個別に機能しているのでなく、リンクしている。その相互性、奥行きを考えていく必要性を感じた。

 

 

 

執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表

・国家資格(作業療法士)取得

・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務

・海外で3年に渡り徒手研修修了

・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆

 

 

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