vol:32.脳卒中患者のリーチ時における代償戦略の特徴とは? 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー – 脳卒中/神経系 自費リハビリ施設 東京 | STROKE LAB
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vol:32.脳卒中患者のリーチ時における代償戦略の特徴とは? 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー

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上肢,バイオメカニクス
 
 
 

タイトル

Compensatory strategies for reaching in stroke?PubMedへ Cirstea MC et al:Brain. 2000 May;123 ( Pt 5):940-53.
 
 

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

・回復期で上肢や手の機能回復を望まれる方が多い。しかし、実際にリーチへの介入は難しく、まずは論文ベースで脳卒中の患者のリーチの特徴や現象を理解、整理したいと思った。
 

内 容

概 要

●脳卒中患者がどのように障害をカバーするために代償するのかをリーチングの中で研究
 
●一般的に脳卒中になると反対側の特定の筋がWeaknessになり,abnormal tone,Abnormalな姿勢調整,abnormalな運動戦略となる
 
●過剰(redundancy)になると,必要以上に個々の関節を結合する戦略をとるようになる
 
●Latashは多様(abundancy)という言葉を使用し,環境に適応するために様々な戦略を使用するとした
 
●健常人は新たな課題に適応する際,DFs(degree of freedom)は減少し,ダイナミックなパターンとなるが,Optimal synergiesあるいはco-ordinative structuresによってコントロールされるようになる
 
●この見解から,正常な中枢神経系では特別にsynergiesが作られるのではなく自然にイメージされているのかもしれない
 
●先行の研究にて,麻痺側で物の把握の際により体幹を動員することで新たな協調パターンを作り出しているという報告もある
 
●この研究では肩と肘の評価はなされていない
 
今回の研究では… ①課題の際の様々な関節の3次元解析,②ゴール達成のために何の戦略が使われるのか,③上肢と体幹との間の機能的分析を主とする目標とした
 
 
 

方 法

●9人の右片麻痺と9人の健常人を比較
 
●全ての患者は麻痺側で遂行され,自身のコントロールにて目標ターゲットは41.5センチの高さのプラットホーム上のボタン,運動する際は視覚なしにて実施,3次元解析にて上肢と体幹の運動を分析
 
●肩甲骨は両側の肩峰,肘は外果,手関節は尺側頭,体幹は胸骨,示指にて行った
 
キャプチャ1

Fig1:実験条件

 
 
 

結 果

●健常人に比べ孤を描けず,体幹の運動も大きくなってしまった
 
●動作は遅いにも関わらず運動は拙劣
 
●患者はアブノーマルな関節のコネクションを作り,rangeは狭くなるにも関わらず,目標に達することができる
 
●肩と肘のrangは減少するが,体幹のrangeは増大する(患者110.2±59.7、正常人37.5±14.2)体幹の回旋も増大する
 
●肘の伸展ができないと体幹のdisplacementを動員してしまう
 
キャプチャ2

Fig2:健常者と脳卒中患者における上肢と体幹の平均軌道

 
●脳卒中患者は,運動に時間がかかったり,より孤が分散したり,より変化に富んでおり大きな運動のエラーを認めた
 
●健常人と患者の違いは,健常人に比べて肩と肘の協調性(inter joint)が逸脱していた
 
●正確さや筋収縮,分節性,協調性の欠如を伴った患者であってもターゲットに対してポイントすることはできた
 
●代償戦略の使用は運動障害の程度に応じていた
 
●シビアな患者は新たな運動の自由度を求めて代償戦略を使用し,マイルドな患者は正常人の方法に従事した戦略であった
 
●右片麻痺は左麻痺に比べて運動プログラミングや感覚情報の統合が難しくなる
 
●脳卒中患者は運動パターンの失われた要素を代償するため過剰な運動システムを使用する能力を保ち続けてしまう
 
●このような代償戦略を伴った患者は,筋の短縮や関節の逸脱に伴う関節障害などを引き起こしてしまう
 
キャプチャ3

Fig3:健常者と脳卒中患者の測定値結果と3次元解析による動作平均

 
 
 

明日への臨床アイデア

●片麻痺特有の運動パターンを3次元解析で軌跡や数値として出しており納得できた
 
●体幹を代償的に使用する際,体幹の運動が選択的に使用できているとは思えないため,体幹の細かい運動評価があれば代償の中身を模索できた可能性はある
 
●健常者は上肢リーチに際して速度変化があっても,調整して一定の軌跡をもってターゲットに到達することができるが,脳卒中患者の場合は速度の関係だけでなく,個体差によって運動の軌跡がまちまちであることが特徴的であった
 
●つまり,「一般的な脳卒中特有のパターン」という言葉をよく見聞きするが,そこの中身には運動発現のタイミングや,著名な代償ポイント,それによって創りだされる代償戦略は,結局のところ個体によって様々であり,典型的パターンなどという思考は,セラピストのReasoningを阻害する可能性すらあり得るのではないかと感じた
 
●運動が発現されるまでのPlanning,発現してからの運動・バイメカ的事象を照合しながら,個体差に応じて治療戦略を練ることが重要であると再確認した
 
 
 

所属 回復期病院

職種 理学療法士

 
 
 
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