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vol.25: 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー:高齢者の動的姿勢制御における固有受容感覚とTA・GAS内側頭との関係性

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カテゴリー

脳科学,姿勢制御
 

タイトル

固有受容感覚の鋭敏さが高齢者の動的姿勢制御において前脛骨筋と腓腹筋内側頭の共同収縮を予測する Proprioceptive acuity predicts muscle co-contraction of the tibialis anterior and gastrocnemius medialis in older adult`s dynamic postural control👈PubMedへ Craig CE et al:Neuroscience. 2016 May 13;322:251-61
 
 
 

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

・患者様より「年を取って転びやすくなった。バランスが悪くなった。」との話を聞くことがある。また、最近では高齢の脳卒中患者を担当することが多く、発症前の状況でも固有感覚低下の可能性があるのではないかと疑問に感じた。治療を進めるにあたって、発症前の状況もある程度予測し、介入をしていく必要があると思い本論文を読むこととした。
 
 
 

内 容

概 要

●姿勢制御は視覚,固有受容感覚,前庭感覚を統合することにより成り立つが,加齢によりその機能は低下する.特に固有受容感覚の低下は,例えば高齢者のTimed up and go testや階段昇降のパフォーマンスに大きく影響し,姿勢制御を低下させることが,幅広く研究されている.
 
●また,高齢者は固有受容感覚による戦略を変化させることが知られており,例えば腰痛がある患者と同じように,腰背部からの固有感覚情報への依存度を減らし,足関節からの情報へ依存する傾向がある.
 
●このような固有感覚情報の加齢による適応は,力学的負荷による関節の変性の原因となったり,下肢の固有感覚の鋭敏さは転倒と関連することが証明されている.
 
●しかし高齢者における固有感覚の鋭敏さ-姿勢制御のパフォーマンス-下肢筋の共同収縮の関連性はほとんど分かっていない.
 
●高齢者の下肢筋の共同収縮は,固有受容感覚の低下に対する代償的な戦略とされているため,共同収縮と固有感覚エラーは正の相関を示すべきであるが,直接的な関連性を示した報告はない.
 
 
 

目 的

●固有感覚の鋭敏さと,若年群と高齢群の姿勢制御における下肢筋の共同収縮との関連性を調べること.
 
 
 

方 法

●16人の若年健常者(年齢:22.69±4.14歳)と16人の健常高齢者(年齢:70.5±3.91歳)を対象とした.
 
●固有受容感覚鋭敏さテスト:自動固有受容感覚マッチング課題として,固有受容感覚マッチング装置を用いた.被験者は高さを変えられる椅子上で股関節屈曲90度の座位を取らせる.目隠し・ヘッドフォン・利き腕にボタンを持った状態で,利き足関節を10°もしくは15°に固定された状態で,非利き足関節を同じ角度に自由速度で一致させる課題を行った.フィードバックなしで,各脚5試行ずつ行った.同時に筋電図による記録も行った.
 
●姿勢制御評価:Smart Balance Master (Neurocom社)を使用して,立位時における3分間の測定を2試行行い,前後左右の床反力成分を検出した.前半は安定した立位姿勢,後半は年齢に応じて算出された動揺を与える課題を行った.また,高齢者においては実施前にMMSEと5回起立着座テストを行い,認知能力と体力が年齢相応かどうかを確認した.
 
●筋電図記録:両側の前脛骨筋と腓腹筋内側頭に電極を装着し,両筋の100%MVCを測定した後,共同収縮の程度を調べた.
 
 
 

結 果

●5回起立着座テスト:全高齢者の平均値±標準偏差は11.08±1.73秒であり,Bohannon(2006)の報告による,60代の平均値11.4秒,70代の平均値12.6秒を下回っていた.
 
●固有感覚鋭敏さテスト:Fig.2に図示 キャプチャ2 Craig CE et al:2016
 

若年群では10°および15°においても3°程度の誤差が生じ,有意な差は見られなかった.高齢群では,有意ではないものの10°試行の際に誤差が多い傾向にあり,エラー試行時の値から標準偏差を算出すると,10°試行の際のばらつきと15°試行の際のばらつきに有意な差が生じ,10°試行の際にエラーの大きさが不安定であった.

 
 
●姿勢制御評価:軌跡長は若年群,高齢群とも安静時および動揺時間で有意な差があったが,年齢による違いは見られなかった.これは加齢に応じた動揺量の修正が適切であったことを意味している.
 
●筋電図記録による共同収縮の年齢差:Fig.3に図示 キャプチャ3 Craig CE et al:2016
 

動揺課題において有意な増加がみられる.また,年齢による有意な差もあり,高齢群はどちらの課題において若年群に比べて多くの共同収縮が見られている.また,動揺課題における開始1秒後-2秒後間で有意な現象がみられる.

 
 
●共同収縮と固有感覚の鋭敏さの関連性:ピアソンの積立相関係数を求めると、高齢群の動揺課題において固有感覚のばらつきの程度と共同収縮に負の相関が見られる.
 
 
 

考 察

●高齢群において不安定な環境下では,固有受容感覚が鋭敏であるほど,共同収縮が強くなることが明らかとなった.これは従来提唱されてきた,固有受容感覚の低下に伴う代償的な戦略として共同収縮が用いられている,という説と矛盾する.これは固有受容感覚が鋭敏である高齢者は,その感覚に過度に依存しているためでないかと私達は推測する.
 
●逆に固有受容感覚が低下している高齢者は,前庭感覚など他の感覚に依存している可能性がある.これらについて、更なる研究が必要である.
 
 
 

臨床アイデア・私見

●高齢者の姿勢制御は固定的なものであり,多様性に欠け,転倒を引き起こすイメージがある.共同収縮はその典型であり,しばしば関節運動の選択性を引き出すような運動療法が選択されることがある.しかし,共同収縮が引き起こされる原因が本文献のように下肢の固有感覚の過剰性から来るものだとしたら,選択的な運動が逆効果となってしまう恐れがある.その際に大切なのは,身体の固有受容感覚のアンバランスを再評価し,さらに姿勢制御を視覚・前庭感覚など含め,統合的に捉えて,それらの協調性がうまくできているか評価する点であると考える.
 
●本文献では,lower back proprioceptive informationという単語が出てきた.私たちの実際の姿勢制御における固有受容感覚は,どの部分がどの程度影響し,他の感覚とどのように協調的に作用しているのか理解する必要があると感じた.
 
 
 

氏名 中西 智也

職種 理学療法士

 
 
 
 
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