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脳卒中(脳出血・脳梗塞)片麻痺のリハビリ:ケーススタディと臨床推論

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金子コメント:今日はケーススタディーの記録ですね。よう書いたわと思います。ケーススタディを業務時間内に実際の患者さんで数名でやるって、今の時代かなりレアなのではないでしょうか?
色々意見を交わしながら実際に介入することで、教科書では絶対にできない勉強ができていました。
僕個人としては、患者さんを介した勉強が一番スキル向上に繋がります。私も金子技塾上級編では実際の患者さんをお呼びしてディスカッションするつもりです。

本文の内容ですが、短縮か代償か?という問いはやや難しいかなと。

代償性短縮というものが存在しますので。

ですが、短縮という中身を深く追求する際に、案外運動パターンを変えるだけで伸びる患者さんが脳卒中系では多いです。

例えば背屈0度でも、肩甲骨の治療をしたり、姿勢の意識を変えるだけで15度くらいまで挙がる人もいます。

安易に背屈に対して下腿三頭筋のストレッチやTAの滑走不全にとらわれないことが重要だと思います。

特に運動パターンを変えた変化の方が徒手ゴリゴリでの変化より、学習にも有利な場合がありますから。

 

本文contents

症例検討(短縮か代償か?)

asi
昨日勉強会で6名の症例の方々に協力を頂いて、それぞれ3~4人前後のグループに分かれてケーススタディを行わせていただきました。
( ´∀`)つ

私の担当させていただいた患者さんは左片麻痺で、一番気になることは

「歩くときに膝が曲がらないの。ロボットみたいでやだわ・・・」

とのことです。

 

歩行は杖歩行にて自立していますが、振り出しの際に骨盤の過剰な左回旋と左上方傾斜がinitiationで入り、結果的に骨盤前傾、股関節は屈曲位置のまま後方にひっぱられ 、膝は伸展位、足部は内反となってしまいます。麻痺側上肢の連合反応も強くなってしまいます

 

ケーススタディなので、自分の意見をごり押ししてはいけないので、まずどこから、どのような姿位で開始するか検討しました。

 

自分は、膝と足部のコントロールができないので、そのあたりの知覚、認識を評価しようと思ったのですが、一緒に参加した他の先生から、
「上部体幹の固定が強いので、そこの選択性を出したら歩行はどう変わるか?」

という意見がでました。

 

「開始姿位は肋間の抗重力活動がないので、高めやすい立位から開始したい」とのことです。

 

他の先生の意見を尊重し、まずは立位で肩甲骨や肋間の評価を始めました。肋間は隙間がなく過剰に連結して、左前方に上部体幹はねじれ、肩甲骨は挙上外転に引っ張られています。触った感じだと短縮と言うよりも同時収縮で止めているような感覚でした。

 

肩甲骨をprotoractionしようとすると、骨盤ごと前方にひっぱられます。

 

骨盤を中間位に保持して、肩甲骨のprotoraction,retractionを行うことが難しいです。

 

患者さんが言うに「肩甲骨がよくわからない・・」とのことです。

 

肩甲骨の下角や内側縁にセラピストの手をあて少し筋収縮を誘導するとすぐに気づきました。
これにより、骨盤が中間位にkeepするよう本人に注意してもらい、肩甲骨をprotoraction,retractionを誘導すると骨盤と肩甲骨の分離ができるようになりました。

 

つまり、骨盤の上で肩甲骨が動くという識別ができるようになりました。(この間およそ5分、比較的早いです。)つまり、症例にとっての上部体幹の固定は代償要素が強く、自分としてはそこまで即効に識別ができるくらいになったので、上部体幹が主要問題点ではない、ととらえました。

 

実際歩いてもらうと、連合反応は減弱していますが、膝の屈曲へのコントロールは大きく改善はしていません。

 

次は、自分が最初に問題と思った、下腿、足部の評価です。
坐位では足部の低背屈や膝の屈伸はできるのですが、歩行になると膝関節伸展と足関節の内反がセットになり、コントロールできなくなります。

 

ですので、メインは運動パターン(Feed forward control)に大きな問題があると考えました。

 

治療は立位で、上部体幹は他の先生に支えてもらい、軽度のステップ姿勢で、足関節の底屈→膝関節の屈曲が連鎖的に作れるか?というところにこだわりました。

 

麻痺側を後ろに引いたステップ姿勢は、ガストロやハムの長さが足らず、強引に後方に持っていこうとすると、上部体幹の広背筋までもがひっぱられるようです。

 

ここで検討です。

 

この長さの問題が短縮か代償か?

絵

仮説で短縮と決めるならば、モビライゼーションでガストロやハムの長さをつくればステップ姿勢がとれる、ということになります。

 

そういう意見もでましたが、自分はパターンだと判断し、そこはごり押ししました。おそらくステップポジションをとると脳が判断すると、必然に麻痺側へのCOMの移動を求められ、不安定性が要求されます。

 

それを予期して、筋の緊張を強め、大きなCOMの移動がしいられないていどのわずかなステップ姿勢にとどめようとするのではないかと思いました。

 

したがって、治療では、本人が動ける範囲内でのステップポジションで、踵骨と膝にkey pointを当て、踵骨が回転→底屈→膝の屈曲、というようなハンドリングにこだわりました。

 

緊張の強さや、皮膚の状況、本人からの聴取でも、かなり足部と膝に関しての知覚は乏しいです。
時間が少しかかりますが、ハンドリングのポイントとしては、踵骨の前方への回転させる際に膝関節にその回転が伝わるよう誘導し、緩んできたら、本人に底屈の時に「踵が膝に近づくよう意識して動かしてください」、と本人の意識を要求していきました。

 

だんだんステップポジションの幅が広がり、上部体幹が引っ張られる反応も少なくなってきました。

 

やはり、長さの問題は運動パターンといったFeed forward controlの問題が大きい、という仮説が正しいということになります。

 

次にステップポジションからtoe off →swingへとハンドリングを誘導します。

 

本人には「ぎりぎりまで、足趾がはなれないように意識して、離れそうになったら、振り出してください」と要求します。

 

この制御ができるようになるまでにおよそ20分かかりました。

 

歩いてもらうと、振り出し時の骨盤の左回旋、上方傾斜が軽減し、膝関節の屈曲ができるようになりました。

 

さらにチャレンジです。本人の要求は満たされたのですが、まだ足部の内反コントロールが不十分です。

 

再度立位で評価すると、小指側への重心移動が不十分です。移動しようとすると、小指の中足骨がinに入り、ちゃんとした外側でのweight transferができません。

いったん坐位になって評価です。

 

足部は内反が坐位でも比較的強く、内側楔状骨や中足楔状骨と舟状骨がひと固まりになり上方へ引っ張られています。

 

一方で足底筋の長さは足らず、内側のアーチが過剰に高くなっています。

 

ここは識別も難しく、感覚や知覚と言う前にメカニカルな問題が(筋短縮が大きい)と判断し、モーバライズを加えました。

 

母指側のBaseができた上で、当初の目標でもある、小指側でのバランス制御なので、小指外転筋のweaknessに対して、inにはいっている中足骨をoutに引き出し、起始部に近づけたり、遠ざけたりして、筋収縮を促し、母指側のBaseを保った上で、腓骨筋と小指外転筋の連結を狙います。

 

(足部に関しては、意識を向けると過剰な筋出力と運動パターンが組み合わさりやすいのでここでは意識は向けず、オートマティカルな反応を重要視しました)
つまり、足部は運動パターンや皮質コントロールだけでは説明ができないということです。

 

以前ブログでのせたHorak の分類で言うと、Biomechanical constrainの要素が大きいというこになります。

 

そこが連結したら、立位をとってもらい、患者さん自身で外側への重心移動を行ってもらいます。

 

外側移動時に、小指中足骨がinに入らず、バランスを保てるようになりました。

最後に歩いてもらうと・・・

もちろん100%とは言いませんが、

 

当初問題にしていた、振り出し時の膝の屈曲が出現し、stance時の内反も軽減しました。立位で練習した振り出しの時に、踵が膝に向かいながら、踵が床から離れて、指がぎりぎりまでつけて、離れそうになったら足を振り出すよう意識してもらうことで、当初の運動パターンを自分で制御できるようになりました。

 

今は、意識が必要ですが、無意識にコントロールしていく、と言うハンドリングまでには時間がなくできませんでしたが、自宅での自主トレでできる運動までは学習できたと思いました。

 

ケーススタディは他病院の患者さんと大勢で関わるので、

1.チームワークを乱さない程度に意見を統一して気持ちよく全員が参加 できること
2.患者さんの主要問題点と解決を限られた時間内で行う (同じ方向に向かう!!)

ddャ

という、両者へのセラピストの注意がいるので、いつもより疲れましたが、患者さんが変化したことと、みんなの意見を統一しながら、仮説検証を進めれたのでみんな気持ちが良かったようです。

 

まとめると、上部体幹や股関節は知覚―認知といった皮質レベルでの混乱で、ハンドリングもリファレンス程度で解決でき、足部に関しては、メカニカルな要素が大きく、知覚の前の準備が必要でハンドリングもリファレンス程度では難しくlight touch というよりもdeep touch とlightとtouchの組み合わせが必要だった?ということでしょうか?

 

外来の患者さんで皮質の問題が大きく問題なかったので、より認知と姿勢制御という治療と、オートマティカルな要素との組み合わせが取り入れれたケーススタディだったのではないでしょうか?

 

 

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